【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語⑭ガレット

フレーズ

意味の広がりや違いを感じよう!

日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。

外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。

外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。

第14回目は、「ガレット」です。

日本語の「ガレット」

外来語の「ガレット」が定着してきたのは、かなり最近のことですよね?

1月6日頃に行われるお祭り用の「ガレット・デ・ロワ(王様のガレット)」というお菓子や、「そば粉のガレット」というクレープの名前として、2000年代以降に見聞きするようになったと思います。

ただし日本でも知られるようになった「ガレット・デ・ロワ(王様のガレット)」は、パイ生地の中にアーモンドクリームが入っているものだけですが、フランスではもう1種類、ブリオッシュ生地で作られたまったく違うタイプのお菓子も、同じ名前で呼ばれています。

  • ガレット①「(お祭り用の)パイ菓子の名前」
  • ガレット②「そば粉のクレープ」

フランス語の「galette」

フランス語の「galette」は、お菓子の名前だけを取ってみても主に2種類あり、料理の名前としても大きく分けて2種類、さらには食べもの以外の用途でも使われることのある言葉です。

それは「galette」という言葉の成り立ちが関係しているのです。

というのも、「galette」は「galet(丸く平たい小石)」という単語に「-ette」という形がついてできた単語です。

「-ette」を語尾につけることで、元の単語を「小さくしたもの」や「かわいらしいもの」というニュアンスが加わるため、「galette」の本来の意味は「小さな(ちょっとした)平たい石」です。

ですが「galette」の場合は、「丸く平たい」という形が特に料理やお菓子の名前に取り入れられた結果、「小さい」というサイズ感が重要ではなくなりました。

そのため、1月6日頃に行われるお祭り用の「galette des rois(王様のガレット)」は切り分けて食べるように大きく作られますし、日本で「そば粉のクレープ」として知られるようになった「galette bretonne(ブルターニュ地方のクレープ)」も、小麦粉で作られる他のクレープとサイズ感は同じです。

なお日本語にはないお菓子としては、前述通り、パイではなく、ブリオッシュで作られた「王様のガレット」があります。

そしてさらに、クッキー状のお菓子も「galette」または「petite galette」と呼ばれます。

料理名としては、「galette bretonne(ブルターニュ地方のクレープ)」だけでなく、「galette de pommes de terre(ジャガイモのガレット)」や「galette de légumes(野菜のガレット)」があります。

ジャガイモや野菜をマッチ棒状や荒いみじん切りに切った後、丸くて平たい形に整えて焼いたものです。

また食べもの以外でも、工業製品の部品などで「galette」と呼ばれるものもあります。

その場合でもやはり「丸くて平たい」という形が、名前の元になっているようです。

フランス語の「galette」の使い方をまとめると、

  • galette①「(お祭り用の)パイ菓子の名前」
  • galette②「(お祭り用の)ブリオッシュ菓子の名前」
  • galette③「クッキー状のお菓子の名前」
  • galette④「そば粉のクレープ」
  • galette⑤「ジャガイモ/野菜料理の名前」
  • galette⑥「工業製品の名前など」

ということになります。

フランス語のgalette①と②は、両方とも同じ名前「galette des rois」です。

この2つの違いについては、以前の配信【フランスでの生活】冬~春のダイエットは不可能?お菓子にまつわるカレンダーでもご紹介していますので、ご参照ください。

「ブルターニュのガレット」

なおここまで、「galette bretonne」を「そば粉のクレープ」として扱ってきましたが、実はあまり正確な表現ではありません。

日本でクレープとして知られるようになったので、少々ややこしくなってしまいますが、「galette bretonne」は「ブルターニュ地方のgalette」という意味でしかありません。

「galette」が「丸くて平たい」形状のモノだということは前述通りで、すべてに共通しているのは、あくまでも形だけなのです。

ブルターニュ地方は、名産のバターをたくさん使ったお菓子が有名で、さらにフランスの他の地方ではマイナーな存在である、ソバの実の産地です。

そこで「galette bretonne」が「そば粉のクレープ」を意味する一方、同じ「galette bretonne」が「クッキー状のお菓子」の名前にもなっています。

おいしいバターをふんだんに使った「galette bretonne」は、サクッとしながらも、ホロッとやわらかいお菓子です。

ダイエット中は決して口にすべきではないけれど、バター好きなら外れのない美味しさです!

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