【フランス語のフレーズ】日常会話で使う略語⑧bac

フレーズ

若者言葉から昇格した略語

フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。 

元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。 

かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。 

今回はその第8回目「bac」です。 

「bac」とは?

「bac」は「baccalauréat」の略で、フランスの大学入学資格試験「バカロレア」のことです。 

この「bac」に関しては、かなり古くからある略語なので仏和辞書に載っていることが多く、すでにご存じの方も多いかもしれません。 

それでもここで「bac」を扱うことにしたのには、2つほど理由があります。 

「bac」は学歴のベース

まず「bac」という言葉は、フランスで学歴について語る際の全ての基本になっているからです。 

大学入学資格試験ということは、高校の卒業証明でもあるので、このレベルを「niveau bac(バカロレア・レベル)」と言い、履歴書などにも書きます。 

そして大学入学後に1年分の単位を取得し、学年末試験に合格すれば「niveau bac +1(バカロレア・プラス1レベル)」、2年目も単位取得して試験に合格すれば「niveau bac +2(バカロレア・プラス2レベル)」…などということに。 

日本で4年制大学終了と同時に得られる「学士号」は、フランス語で「licence」と言いますが、「bac +3」に相当します(「bac +4」ではありません)。 

同様に、日本では大学院修士課程修了と同時に得られる「修士号」は、フランス語で「master」と言い、「bac +5」に相当します。 

「博士号」はフランス語で「doctrat」、バカロレアからの年数によって違い、「bac +7」または「bac +8」のように表現されます。 

「bac」の同音異義語

ここで「bac」を扱う理由の2つ目は、同音異義語があるからです。 

学歴の「bac」は男性名詞ですが、同じ男性名詞・同じスペルで、「バケツ」や「容器」などの意味の「bac」もあるのです。 

なので、 

「Tu as le bac ?(バカロレア資格を持ってるの?)」 

と聞かれた人が 

「Oui, oui, bien sûr, j’ai même deux ou trois !(もちろんだとも、2つ3つだって持ってるさ!)」 

などと答えるオヤジギャグのもとになったりします。 

「bac」の種類について

ところで、バカロレアには種類がたくさんあることをご存じでしょうか? 

バカロレアは、まず2つに大別されています。 

よく知られているのは「baccalauréat général = bac général(一般バカロレア)」の方ですが、と「baccalauréat professionnel = bac pro(職業バカロレア)」というものもあります。 

「bac général」は、文学・経済・科学の3種類に分かれていたのですが、2019年からはシステムが変わって、現在名目上の種類はありません。 

「bac pro」の方は、職業ごとにかなり細分されています。 

例えば工業系分野に電気工学・自動車整備・製造技術など、サービス系分野に観光・販売・ファッションなどといった具合です。 

フランスで働くには、ほとんどの業種でそれぞれの資格を取得していることが求められるのです。 

「bac」の評価について

なお、バカロレアの成績も、特に若い頃には就職活動に影響します。 

よく「バカロレアは日本の大学入試よりもずっと簡単」と言われていますが、バカロレアには点数がついていて、大げさに言えば、それが一生ついて回るのです。。 

確かに日本の難易度の高い大学だと、高校の教科書にはない問題も出題されるので、バカロレアよりも難しいと言えるかもしれません。 

ただしバカロレアの試験内容は長文の記述問題ばかりなので、人によっては苦手なのではないでしょうか? 

そしてすべての科目で20点満点の評価が行われ、その平均点が就職を左右する場合があるのです。 

成績優秀者には「mention」と呼ばれる評価がつけられます。 

何点以上から評価がつくのかはバカロレアの種類によりますが、評価は次の3段階です。 

  • mention assez bien(やや良い) 
  • mention bien(良い) 
  • mention très bien(とても良い) 

「bac」の使用例

もちろん評価の種類も大切ですが、そもそもバカロレアに評価がついていたこと自体が話題になります。 

そのため 

「Il a réussi son bac avec mention.(彼は評価つきでバカロレアに合格した)」 

などと聞けば、みんなで大喜び、などというのがフランスの夏の風物詩だったりします。 

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