若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第33回目「psy」です。
「psy」とは?
「psy」とは、「psychiatre(精神科医)」「psychiatrie(精神科)」「psychanalyste(精神分析医)」「psychologue(心理カウンセラー)」「psychothérapeute(心理療法士)」のいずれかのことです。
「psychiatre」の場合は「精神科の医師」、「psychiatrie」なら「診療科としての精神科」という意味です。
その他の「psychanalyste(精神分析医)」「psychologue(心理カウンセラー)」「psychothérapeute(心理療法士)」に関しては、必ずしも医師ではありません。
「psy」という言い方は、これら全部をぼんやりとまとめて使うことが多いです。
使用例
「psy」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。
- Je vois un psy chaque semaine.
(毎週/精神科医/精神分析医/心理カウンセラー/心理療法士に会っている)
- Il est hospitalisé en psy.
(彼は精神科に入院している)
1つ目のフレーズで会っている相手は、「psychiatre(精神科医)」「psychanalyste(精神分析医)」「psychologue(心理カウンセラー)」「psychothérapeute(心理療法士)」のいずれかであり、この言い方でははっきりしません。
でも、この「psy」という表現こそがよく使われています。
「専門家に精神的なサポートを受けている」ということが十分に伝わるからです。
それに対し、2つ目のフレーズでは「入院している」ので、ここでの「psy」は「診療科としての精神科」である「psychiatrie」という意味だということがわかります。
なお、「hospitalisé」に関しては、2025年5月19日配信の【フランス語のフレーズ】日常会話で使う略語㉚で扱っています。
「o」で終わる医療関係の略語
このブログ・ポッドキャストでは、これまでさまざまな略語をご紹介してきました。
特に最近は数回にわたって、医療に関係する略語を扱っています。
「dermato(皮膚科医)」「ophtalmo(眼科医)」「cardio(心臓専門医)」「neuro(神経科医)」「gynéco(婦人科医)」といった専門医の名まえなどですね。
そして例えば「gynéco」が「gynécologue(婦人科医)」または「gynécologie(婦人科)」の略であるとお伝えしてきました。
フランス語の略語は、リズムの良さから語末を「o」にしているものを多く見かけます。
これは医療関係の略語にも多く、「gynéco」に「logue」をつければ医師としての「gynécologue(婦人科医)」、「gynéco」に「logie」をつければ診療科としての「gynécologie(婦人科)」という具合です。
例外中の例外でも身近な存在
このルールのようなものは、これまでご紹介してきた、すべての医療に関する略語に当てはまりますが、例外が今回の「psy」です。
そして「psy」という略語が、「psychiatre(精神科医)」だけでなく、いくつもの精神・心理関係の専門家を、ぼんやりまとめているというのが、例外中の例外とも言えます。
そしてこれは、あくまでもわたしの肌感覚ですが、フランスではわりと気軽に「psychologue(心理カウンセラー)」や「psychiatre(精神科医)」に通う人が多いです。
そして「psyに会ってくる」のように言うので、それがカウンセラーなのか、精神科の病院なのかさえ、わからないことが多いです。
でも、漠然とした「メンタル関係の専門家」という意味の「psy」と略語で呼ばれるような存在が身近に感じられることで、うまくストレスをコントロールできているのかもしれません。
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