若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第25回目「boulot」です。
「boulot」とは?
「boulot」とは、「仕事」という意味の男性名詞で略語ではありません。
「travail」と同じ意味ですが、くだけた言い方です。
親しい間柄や日常会話でよく使われ、仕事を「食べ物を得るための行為」として捉えるニュアンスが強いです。
「食べていくためにしなくてはならない」という、ネガティブな捉え方の「仕事」という意味であることも多いものの、そもそもスラングで軽い表現なので、悲壮感を感じさせることは少ないです。
かなり以前から使われている言葉なので仏和辞書などに載っていることも多いのですが、くだけた表現なので使い方には注意が必要です。
使用例
「boulot」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。
- C’est quoi ton boulot ?
(君の仕事は何?)
- Je cherche un petit boulot.
(アルバイトを探してる)
「boulot」は男性名詞なので、「君の仕事」は「ton boulot」になります。
「petit boulot」は「短期の仕事」や「アルバイト」という意味です。
目上の人や顧客相手なら?
「boulot」はスラングなので、目上の人や顧客相手には「travail」などを使います。
- Quel est votre métier ?
(あなたの職業は何ですか?)
- Quel est votre travail ?
(あなたの仕事は何ですか?)
- Je cherche un petit travail.
(アルバイトを探しています)
目上の人などには、「ton(君の)」の代わりに「votre(あなたの)」を使います。
「c’est quoi ~ ?(~は何?)」もくだけた言い方なので、代わりに「quel est ~ ?」または「quelle est ~ ?」を使います。
「métier(職業)」と「travail(仕事)」は両方とも男性名詞なので、両方とも「quel est ~ ?」で聞いていますが、この部分が女性名詞になるのなら、「quelle est ~ ?」で聞くことになります。
退屈な毎日
ところで「boulot」という言葉が象徴的に使われている、フランスの有名な表現があります。
それは、
- Métro, boulot, dodo
です。
「Métro」は「メトロ」「地下鉄」、「dodo」は「寝る」という意味の「dormir」の幼児語です。
つまり「Métro, boulot, dodo」で「地下鉄、仕事、寝る」という意味です。
都会では通勤のためにメトロに乗り、仕事に追われ、帰ったら後は寝るだけという、毎日同じことを繰り返している、退屈な生活を表した表現です。
1960年代に広まり、半世紀以上もの長い間にわたって「機械的な生活が自分たちの幸せや自由を奪っている」という不満のスローガンのようになっていました。
ただしごく最近は、まだ一部の人たちだけの間ではありますが、変わりつつあるように思います。
それは、テレワークの普及によるものです。
以前とは違い、今や通勤が必須ではなくなっているので、住みたい場所に引っ越したという話しも聞きます。
コロナ禍によって「Métro, boulot, dodo」の呪文から抜け出した人たちもいた、というわけですね!
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