フランスの馬車だったリムジン
今回は車に関係する単語を扱います。
中でも、フランスの馬車にまつわる単語に注目します。
現在では結婚式などのセレモニーに使われる豪華な車「リムジン」も元は馬車の種類の名前だった、そして「リムジンバス」を表すフランス語についてもご紹介します。
馬力は馬の力
普段はあまり意識しないものの、車にまつわる用語を調べてみると、馬車に由来するモノが多いことがわかります。
車の性能を表す「〇〇馬力」という言葉がいまだに残っていますが、私は日本語で見聞きしていた頃は、それが「馬の力」がルーツになっていることを意識したことはありませんでした。
フランスに来てから、「1 cheval, 2 chevaux, 3 chevaux…」のように言うので、ようやく「馬だったんだ!」と気づきました。
ちなみに、馬は男性名詞で「cheval」と言いますが、複数形は「chevaux」です。
また、最近の日本の車のカタログで「〇〇 PS」とあるのが、フランス式の「〇〇馬力」のことです。
「豪華な馬車」と「車体」
わたしが馬車について調べるきっかけになったのが、先日(2025年2月20日)配信した、ブログ・ポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】第390回で扱った「carrosse」という単語でした。
「carrosse」は「(王族や貴族などが使う豪華な)馬車」という意味の男性名詞です。
現代を生きる私にとっては、「carrosse(豪華な馬車)」より「carrosserie」という単語が身近です。
「carrosserie」は「車体」を意味する女性名詞で、例えば
- Il a emmené sa voiture au garage pour réparer la carrosserie.
(彼は車体修理のために車を修理工場に持っていった)
のように使うからです。
馬車から車へ
そして「carrosserie(車体)」をきっかけに、馬車について調べるうちに目に留まったのが、「break」「berline」「limousine」の3つでした。
「break」は「ステーションワゴン」のこと、「berline」は「セダン車」のこと、「limousine」はそのまま「リムジン」です。
3つとも、車の種類としては知っていましたが、馬車由来だということは知りませんでした。
「break(ステーションワゴン)」は、元は荷物や家族を運ぶための大型馬車。
「berline(セダン車)」は、元は四輪の豪華な馬車。
「limousine(リムジン)」は、元は運転席が外にあり、客席が完全に覆われた大きな馬車。
「limousine(リムジン)」以外は、現在使われている車の種類を表す言葉と、あまり変わらないように思えます。
地名由来で命名されていた!
なお、調べる中で驚いたのは、「berline(セダン車)」と「limousine(リムジン)」の語源です。
「berline(セダン車)」は「(ドイツの)ベルリンで作られていたから」という理由で名づけられ、「limousine(リムジン)」はフランス中部にある「Limousin」という地方の名前が由来だというのです。
現在「Limousin」という名前は正式名称ではありません。
この地方は統合されて別の名前になりましたが、焼き物で有名な「Limoges」のある地方です。
世界中で豪華な車として認識されているリムジンが、まさかフランスの地方の名前由来だったなんて、しかも馬車だったなんて、と驚いたのです。
リムジンバスについて
ところで、空港への行き帰りに使うことの多い「リムジンバス」という名前は、日本独特です。
「豪華なバス」をイメージさせるから付けられた名前だと想像しますし、今や「空港リムジン」と言えばバスを指すようになっていますが、フランスでは聞かない表現です。
フランス語では「navette aéroport(空港シャトル)」もしくは「bus aéroport(空港バス)」になります。
「limousine(リムジン)」という単語をバスなどに使うことはないので、次の旅行のために覚えておいてくださいね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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