便利だけど…
今回のフレーズには、日本語で外来語としてよく使われている言葉の関連単語が含まれています。
ただし外来語の意味に引きずられてしまうと、フレーズの解釈にかなりのズレが生じます。
外来語は便利なので、それを意識して覚えながらも、「プラスα」が大切な場合もありますよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Et la géographie, c’est exact, m’a beaucoup servi.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第1章の後半にあります。
3枚目の挿絵から2つ目の段落の3つ目のフレーズです。
「et la géographie」
「et」は「そして」、「la」は定冠詞単数女性形、「géographie」は「地理」を意味する女性名詞です。
「c’est exact」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
「exact」は形容詞で、「正確な」「正しい」「的確な」などの意味です。
「c’est exact」で、「まったくその通りです」という意味になります。
「m’a beaucoup servi」
「m’a」は、「わたしに/を」を意味する1人称代名詞単数目的格の「me」の省略形「m’」と、「avoir」の3人称単数の活用形「a」が合わさったものです。
「servi」は動詞「servir」の過去分詞です。
「a(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。
「servir」は、「(人が主語で)仕える」「(人に)食事を出す」「(商人が客の)相手をする」「(事柄が主語で)(人の)役に立つ」など、たくさんの意味があります。
ここでの「beaucoup」は動詞の強調語で、「大いに」「非常に」という意味です。
背景を見てみると
語り手の男性は6歳で画家になる夢をあきらめましたが、それは周囲の大人たちに他の勉強をするようにと言われたからでした。
不本意ながらもそれに従い、その結果、飛行機の操縦士になりました。
大人たちへの不満はたくさんあるものの、今回のフレーズは唯一、大人たちのアドバイスによってもたらされたメリットについて語っている場面です。
主語と述語は?
今回のフレーズを見て、あなたはすぐに主語と述語を抜き出すことができますか?
「そんなのカンタン!『c’est』だよね!」って思った方、残念!
確かに形式上は「c’est」なのですが、実際の主語は「la géographie」、述語は「a servi」です。
「a(avoir)+ servi(servirの過去分詞)」なので、過去を表す表現だということは、先ほどお伝えしましたね?
ここで注意しなければいけないのは、述語は「m’a servi」ではないということ。
「m’」の部分は目的語なのです。
「外来語+α」とは?
なお、今回のフレーズの主要部分をシンプルに主語・述語・目的語にすると、「La géographie m’a servi.」になるのですが、「servir」という動詞にはたくさんの意味があり、混乱するかもしれません。
日本語にもなっている「サービス」のもとの単語はフランス語では「service」であり、「servir」は関連単語です。
なのでつい、「サービスする」ととらえがちになり、「仕える」「食事を出す」「(客の)相手をする」という意味に結びつけてしまうのですが、今回のフレーズの主語は「la géographie(地理)」です。
事柄が主語なので、「(人の)役に立つ」という意味です。
外来語をきっかけにして単語を覚えること自体はいいのですが、それ以外にも意味があるということを気をつけておくのも、必要なことですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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