論理が矛盾を呼んでいる?
論理的だといわれるフランス語ですが、小さなロジックが重なるうちに、本来の状態からは逆の表現になることがあります。
今回のフレーズは、それが明らかに表れています。
でもこの矛盾、実は役に立つこともあるんですよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Elle a bien besoin d’être consolée. 」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第0章とも言うべき、献辞部分(「À LÉON WERTH」と書いてあるところ)の5つ目のフレーズです。
「elle a bien besoin」
「elle」は人称代名詞3人称単数、「a」は「avoir」の3人称単数の活用形です。
「avoir besoin + de +(動詞の原形)」で、「~することを必要とする」という意味です。
「bien」は副詞で、「よく」「正しく」「非常に」「本当に」などの意味があります。
「d’être consolée」
「d’être」は、前置詞の「de」と「être」が合わさった形です。
「consolée」は、「(人を)なぐさめる」という意味の動詞「consoler」の過去分詞「consolé」の女性形です。
受動態:「être +(動詞の過去分詞)」
この「être consolée」の部分は、「être +(動詞の過去分詞)」という形で、受動態です。
「consoler」は、「(人を)なぐさめる」という意味なので、これが受動態になることで、「なぐさめられる」という意味になります。
なお、主語が「elle」つまり女性なので、過去分詞「consolé」も女性形になる必要があり、「consolée」になっているのです。
背景を見てみると
作者は『星の王子さま』という作品を、「LÉON WERTH」という親友に捧げています。
ただし捧げるにあたって作者は子どもたちに謝り、LEON WERTH氏が作者の親友であること、子どもの本さえも理解できる人であること、そしてこの親友は、飢えや寒さに苦しめられている状態にあることを理由に挙げています。
今回のフレーズは、この3つの理由に続く部分です。
「elle」とは?
今回のフレーズにある「elle」は、このフレーズの前の3つの理由の中で使われている「cette grande personne(この大人)」のことです。
「personne(人)」が女性名詞なので、女性形の「elle」が使われています。
フランス語はこっけい?
ただしこの「cette grande personne(この大人)」とは、作者の親友である「LEON WERTH」氏のことで、実在の人物ですし、男性なんですよね!
フランス語がこっけいに感じるのは、該当する人自身は男性なのに、「cette personne(この人)」のように言い換えられた時点で、女性扱いになる可能性がある場合などです。
日本語にも!
慣れるまでは「あれ?」と思うこともしばしばですが、便利なこともあるんです!
それは、実はボーイフレンド(もしくは付き合っている彼)と出かけたのに、女の子と出かけたふりをする時など。
でもこれ、日本語でもありますよね?
「誰と行ったの?」と聞かれて「友だちと」と答えるような場合です。
いつかはそういう意味で役に立つ日が来るかもしれないと考えて、しっかり覚えておきましょうね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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