一巡しました!
今回のフレーズで、『星の王子さま』のお話しを一巡したことになります。
これまで145回にわたってお届けしてきたシリーズ、【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】も、一段落することになります。
後半では、今後の予定をお伝えしますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ça c’est, pour moi, le plus beau et le plus triste paysage du monde.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第27章の終わりにあります。
第27章の最後から数えて2つ目の段落の最初にあるフレーズで、語り手の男性が思っていることです。
「ça」
「ça」は代名詞で、本来は「あれ/それ」を意味する「cela」の話し言葉です。
その他、「あれ/それ」という意味を超えて、ただ単に感情の起伏を表すために使われることもあります。
「c’est」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「pour moi」
「pour」は前置詞で、いろいろな意味を持つのですが、「~のために」「~の理由で」「~にとっては」などが代表的です。
「moi」は1人称代名詞の単数で「私」という意味ですが、同じ1人称代名詞単数の「je」の強勢形と言われる形です。
「pour ~」の「~」の部分に代名詞が入る時は強勢形になるので、「pour moi」の形になります。
「le plus」
「le plus」は、「le plus +(形容詞)」という形にすることで、「最も~な」「1番~な」という意味です。
「le」は、定冠詞の男性・単数、「plus」は「より多く」を表す副詞です。
「et」
「et」は「そして」という意味です。
「beau」
「beau」は形容詞で、人の容姿や景色などが「美しい」、人の才能やモノ・コトが「すばらしい」という意味です。
姓・数・発音によって形が変わるので、まとめますね。
姓 | 数 | 発音 | |
beau | 男性形 | 単数 | |
bel | 男性形 | 単数 | 母音などの前 |
beaux | 男性形 | 複数 | |
belle | 女性形 | 単数 | |
belles | 女性形 | 複数 |
「triste」
「triste」は形容詞で、「悲しんでいる」「さびしい」「悲しそうな」といった意味です。
「e」で終わる形容詞なので、男性形・女性形とも発音は同じです。
「paysage du monde」
「paysage」は男性名詞で、「景色」「風景」また、「風景画」「風景写真」といった意味です。
この「paysage」が男性名詞なので、2回とも「le plus +(形容詞の男性形)」になっていますが、これが女性名詞なら、「la plus +(形容詞の女性形)」になります。
「du」は、前置詞の「de」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったものです。
「monde」も男性名詞で、「世界」「(ある特定の)業界/社会」「(不特定多数の)人々」などの意味です。
この「monde」が男性名詞なので、直前が「du」になっていますが、これが女性名詞なら、「de la」になります。
背景を見てみると
6年前に出会って別れた王子さまとの、心に強く残る体験をした語り手の男性。
このお話しの最後では、王子さまと別れた場所の絵を見せて、笑っていて金髪で、何をたずねても返事をしない子どもをここで見たら、すぐに知らせてほしいと読者に訴えています。
この絵を提示するときのフレーズが、今回のフレーズです。
王子さまとの別れの場所なので、語り手の男性にとっては、世界中で1番美しくて、でも世界中で1番悲しい場所でもあるんですね。
女性名詞の例
ところで先ほど、「paysage」が男性名詞なので、その前の部分が「le plus +(形容詞の男性形)」になっているとお伝えしました。
またこれが女性名詞なら、「la plus +(形容詞の女性形)」になるともご紹介しましたね。
さらに「monde」が男性名詞のせいで、直前が「du」になっていること、これが女性名詞なら「de la」になることも、合わせてご紹介しました。
ですのでここでは、女性名詞を使った例をご紹介しておきます。
男性名詞の「paysage」に代わり、女性名詞の「image(画像)」を使い、さらに男性名詞の「monde」に代わり、女性名詞の「montagne(山)」を加えます。
「最も美しい山の画像です」と言うなら、「C’est la plus belle image de la montagne.」になります。
少しだけお休みします!
話しは変わりますが、冒頭でも触れたとおり、今回のフレーズで『星の王子さま』のお話しを一巡したことになります。
もっとも基礎的な文法のみで構成されたフレーズだけを扱い、必要なことは何度でも繰り返したので、重複している部分がかなりあります。
でも実際にフランス語で会話をしてみると、こうした基礎的な表現が多いことが分かると思います。
私は普段から、学習入門期には「自分が使う文法」と「他の人が使う文法」は、分けて考えることをおススメしているのですが、これまで145回にわたってお届けした内容は、この「自分が使う文法」の1部です。
今回を持って、このシリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、少々お休みをいただきます。
再開するときには「自分が使う文法」の残り部分を扱い、『星の王子さま』の最初からご紹介していきます。
これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
そして、今後ともよろしくお願いします!
「お休み」と言っても、1週間程度、7回ほどの予定です。
楽しみにしていただけると、嬉しいです!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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