130 王子さまの人間性が見える! C’est mieux comme ça.

その他(王子さま)

相手の幸せを願うひと言 

今回のフレーズは、日常的によく使われる表現です。 

私も人と話していて、おそらくしょっちゅう口にしているはずです。 

でも、こうした何気ないひと言に、相手への気遣いが透けて見える瞬間があります。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「C’est mieux comme ça.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第26章の中ほどにあります。 

第26章の1枚目と2枚目の挿絵のほぼ中間に、語り手の男性が「Bien sûr…(もちろん…)」と3回繰り返す場面があるのですが、3回目の「Bien sûr…(もちろん…)」の後にある段落の中のフレーズで、王子さまのセリフです。 

「c’est mieux」 

「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。 

意味は「これ(それ・あれ)は~です。」 

「mieux」は、「よりよい」「もっといい」という意味です。 

「comme ça」 

「comme」は、「~のように」「~のような」という意味です。 

「ça」は代名詞で、本来は「あれ/それ」を意味する「cela」の話し言葉です。 

背景を見てみると 

王子さまは「目に見えない大事なモノ」の例として、大切なバラの花の話しをし、語り手の男性と2人で飲んだ井戸水の話しをしました。 

かけがえのないバラがそこにあると思うから、星を見るたびに温かい気持ちになれるように、王子さまは男性に、自分と似たような状況を作ってあげようとしています。 

ただし王子さまの星は小さすぎて、どれが自分の星なのかということは、男性に教えることができません。 

でも、そのことを言った後に、王子さまは今回のフレーズを言うのです。 

形容詞の「mieux」 

ところで、今回のフレーズにある「mieux」は、「bien」という単語の比較級に当たります。 

「bien」は、「よく」「正しく」「非常に」「本当に」などの意味の副詞として使われることが多いのですが、形容詞としても使われます。 

「mieux」も同様に、副詞として使われることが多いのですが、今回は形容詞です。 

けれど「bien」「mieux」とも、形容詞として使われる場合でも、女性形や複数形になるなどの変化はせず、いつも同じ形です。 

「よい」「よりよい」 

「mieux」は「bien」の比較級なので、今回のフレーズのレベル下げることができます。 

今回のフレーズは「mieux(よりよい)」つまり比較級での表現ですが、このレベルを下げて単に「よい」にするなら、「C’est bien comme ça.(そういうのがいい)」になります。 

「C’est mieux comme ça.」と「C’est bien comme ça.」どちらのフレーズも、日常的によく使われる表現です。 

なぜ、わからないほうがいい? 

背景で触れたように、王子さまが「C’est mieux comme ça.」と言ったのは、星が小さすぎて、どれが自分の星なのかということは、男性に教えることができないということでした。 

それがなぜなのかは、今回のフレーズの後で、王子さまが説明しています。 

自分の星がどれかがわからないこそ、男性にとってはたくさんある星の1つになり、男性は全ての星を見るのが好きになるから…。 

子どもであるはずの王子さまですが、その内面はすでに、相手の幸せを願うステキな大人の男性ですよね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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