先に謝らせてください!
今回のフレーズは、『星の王子さま』という作品の、一番重要なフレーズかもしれません。
王子さまにとっては、間違いなく宝物となったはずで、いろいろ考えさせられるのですが…。
興ざめになってしまったらすみませんが、覚えるべき単語を増やすのに、かなり便利なフレーズでもあります。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「L’essentiel est invisible pour les yeux.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第21章の終わりの方にあります。
第21章の終わりから6行前に、短いフレーズが4つ連なっているのですが、その最後のフレーズで、キツネのセリフです。
「l’essentiel」
「l’essentiel」の「l’」は定冠詞単数が短縮されたものです。
次の名詞が母音で始まっているので、この形になっています。
「essentiel」は男性名詞で、「もっとも重要な点」「(モノの)主要部分」「必要不可欠なもの」という意味です。
「est」
「est」は、être動詞の3人称単数の活用形です。
「invisible」
「invisible」は形容詞で、「目に見えない」という意味です。
「pour les yeux」
「pour」は前置詞で、いろいろな意味を持つのですが、「~のために」「~の理由で」「~にとっては」などが代表的です。
「les」は定冠詞複数です。
「yeux」は、「目」や「視線」を意味する男性名詞「œil」の複数形です。
単数形と複数形でまったく異なるので、この機会にしっかり覚えたいですね。
なお、単数形「œil」の「œ」は、oとeがつながった文字ですが、「oeil」と書かれる場合もあります。
キーボードでは入力できないことが多いので、特殊文字の挿入を使います。
背景を見てみると
キツネとの別れ際にもらった秘密のプレゼント、それは王子さまのその後の人生の宝物となって、どんな宝石よりも光輝いたであろう、今回のフレーズでした。
この直前にキツネは「心でしか、見えない」と言い、今回のフレーズを王子さまに贈るのです。
キツネの言うとおり、確かに人間がみんな、忘れてしまったことかもしれません。
essence – essentiel(le) – essentiellement
ところで先ほどもご紹介した通り、「「essentiel」は男性名詞で、「もっとも重要な点」「(モノの)主要部分」「必要不可欠なもの」という意味です。
この言葉の元になっているのが「essence」で、発音は微妙に違いますが、外来語の「エッセンス」はこの言葉に由来しています。
フランス語の「essence」には、「本質」や「(人間などの)本性」などの意味もあり、これが「essentiel(もっとも重要な点・主要部分・必要不可欠なもの)」になり、形容詞だと「essentiel(本質的な・根本的な)」などの意味にに、さらに副詞になって「essentiellement(主に、何よりもまず)」と変化しています。
なお、形容詞の女性形は「essentielle」ですが、発音は変わりません。
vision – visible – invisible
こちらも先ほどもご紹介した通り、「invisible」は、「目に見えない」という意味です。
この言葉の元になっているのが「vision」で、外来語の「ヴィジョン」はこの言葉に由来しています。
フランス語の「vision」には、「視力」や「見ること」などの意味もあり、これに可能の意味を持つ「-ble」をつけることで、「visible(目に見える)」に、さらに否定の意味を持つ「in-」をつけて「invisible(目に見えない)」になっているのです。
外来語にもなっている言葉の関連単語なので、覚えやすいですね。
でも、お話しの中の大事なフレーズを、単語数を増やす目的で使用してしまい、本当にごめんなさい!
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