日本人の誤解?
今回のフレーズは、うっかりすると誤解を生みそうな表現があります。
これは作者の意図やミスではなく、理由は日本人の読み手側にありました。
結論から言うと、キツネはかわいそうではないので、心配しないでくださいね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ma vie est monotone.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第21章の前半にあります。
2枚目の挿絵から6行目にあるフレーズで、キツネのセリフです。
「ma vie」
「ma」は所有形容詞、1人称で単数の女性形です。
「私の」「僕の」「オレの」という意味です。
話し手の性別ではなく、後に来る名詞の性別によります。
後に来る名詞が男性単数なら「mon」、男女問わず複数なら「mes」になります。
「vie」は「生命」「生活」「一生」などを意味する女性名詞です。
ここでは、「vie」が単数の女性名詞なので、「ma」になっています。
「est monotone」
「est」は、動詞êtreの3人称単数の活用形です。
「monotone」は形容詞で、「単調な」「変化に乏しい」「一本調子の」といった意味です。
「monotone」にはもともと語尾に「e」がついているので、女性形でも変化しません。
背景を見てみると
キツネにとって、王子さまの星はパーフェクトではなかったようです。
天敵の猟師がいない代わりに、好物のニワトリもいないので、どうやら移住計画はとん挫してしまったようです(そもそも、無理な試みでしょうが!)。
興奮が冷めたと同時に、元の哲学者風に戻ったキツネは、王子さまとの縁結びの話題にも戻り、日々の自分の暮らしについて語り始めます。
今回のフレーズは、その第1弾です。
「monotone」と「モノトーン」
ところで、今回のフレーズにある単語「monotone」は「単調な」「変化に乏しい」「一本調子の」という意味だとご紹介しました。
日本語の外来語「モノトーン」とは、かなり違いますよね?
確かに日本語でも「単調」という意味はあるのですが、「モノトーン」は白・黒・グレーなどの「色彩の単調さ」を表す言葉として使われています。
でも、フランス語ではこういう使い方をしません。
かわいそうなキツネ?
今回のフレーズでも、キツネが「monotone(単調・変化に乏しい)」と言っているのは、自分の生活についてです。
フランス語の「monotone」の使い方としてはほかに、下手な役者の芝居が「一本調子」だという場合などです。
日本語の「モノトーン」で今回のフレーズを捉えてしまうと、キツネの生活が「グレー」だと想像してしまい、かなりかわいそうに思われますよね?
でも、キツネが言いたいのは「毎日変わり映えがしなくて退屈だ」ということ。
やはり「monotone」と「モノトーン」 は、微妙に違う言葉ですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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