残酷な場面
今回のフレーズは、王子さまにとっては、かなり残酷な事実を知ることになった場面のセリフです。
話し相手の地理学者は事情を知らず、また、おそらく興味もないので淡々と答えていますが、それが余計に、残酷の度を増しているかのようです。
そして、フランス語で読むからこそ、王子さまの覚悟を感じるフレーズでもあります。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ma fleur est menacée de disparition prochaine ?」と「Bien sûr.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第15章の終わりの方にあります。
王子さまと地理学者2人のセリフです。
「ma fleur」
「ma」は所有形容詞、1人称で単数の女性形です。
「私の」「僕の」「オレの」という意味です。
話し手の性別ではなく、後に来る名詞の性別によります。
「fleur」は「花」を意味する女性名詞です。
ここでは、「fleur」が単数の女性名詞なので、「ma」になっています。
「est menacée de」
「est」は、動詞êtreの3人称単数の活用形です。
「menacée」は、動詞menacerの過去分詞「menacé」が元になっています。
女性名詞「fleur」があるので、語尾に「e」がついています。
「menacer de ~」
動詞menacerは、「menacer de ~」の形で、「~の恐れがある」「~する恐れがある」という意味になります。
受動態の形容詞的な使い方
ここでは、「動詞être + menacé(e) de ~」という形になっています。
「être + 動詞の過去分詞」なので、受動態なのですが、形容詞のように使われているとみることもできます。
「menacer de ~(~の恐れがある)」の受動態なので、「~される恐れがある」転じて「~に直面している」になります。
また、主語が女性名詞で語尾に「e」がついているのも、形容詞と同じです。
「disparition prochaine」
「disparition」は女性名詞で、「(人やモノが)見えなくなること」「(モノの)消失」「(人の)死去」などを表します。
「prochaine」は、形容詞「prochain」の女性形で、「近い」「次の」「すぐ隣の」などを意味します。
「bien sûr」
「bien sûr」は、「信頼できる」「安全な」「確かな」などを意味する形容詞「sûr」を、「よく」などの意味の副詞「bien」で強めた形です。
「bien sûr」で、「もちろん」「確かに」を表します。
なお、ここで使われている「sûr」には、「^」がついています。
「~の上に」「~に関して」などの意味の「sur」とは、異なります。
背景を見てみると
地理学者は、ただ単に仕事の内容を説明していたのですが、王子さまは自分の星に残してきたバラの花が無視されてしまい、かなり怒っています。
バラの花ははかない存在で、山のように記録されることがなく、その価値もないのだということを、再度確かめているのが今回の1つめのフレーズであり、その答えが2つ目のフレーズです。
王子さまの覚悟とは?
バラの花がいると思っているからこそ、すべての星が輝いて見えていたのに、その花はもしかすると、もう存在していないのかもしれないと知らされた場面です。
そして王子さまは、地理学者のアドバイスに従って地球へ。
ここで使われている「disparition」という単語は、「絶滅」という意味でも使われます。
かわいらしい姿の王子さまですが、実はそれ相当の覚悟を持って地球を訪れていたのだと知らされる場面でもあります。
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