出会いを求める旅
今回のフレーズからは、それまで漠然と感じていたモヤモヤや、よい人に出会えないというストレスから解放された感動と、ホッとした気持ちが感じられます。
今度こそ、王子さまの友だちになれる人ならいいのですが…。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ça c’est enfin un véritable métier ! 」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第15章の始めの方にあり、王子さまが心の中で思ったことです。
「ça」
「ça」は代名詞で、本来は「あれ/それ」を意味する「cela」の話し言葉です。
また、「あれ/それ」という意味を超えて、ただ単に感情の起伏を表すために使われることがあり、今回のフレーズでも、このタイプの使い方です。
「c’est」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être動詞の活用形「est」が合わさった形です。
意味は「これ(それ・あれ)は~です」。
「enfin」
「enfin」は副詞で、「最後に」「とうとう」「やっと」などの意味です。
間投詞のように使われることがあり、今回のフレーズでもこのタイプの使い方です。
その場合は「enfin」にアクセントを置いた口調になります。
よろしければ、下にあるリンクから、ポッドキャストで聞いてみてください。
「un」
「un」は、 不定冠詞の男性単数形です。
「véritable」
「véritable」は、形容詞で、名詞の後ろについて「本当の」「実際の」「本物の」、名詞の前について「真の」「まったくの」などの意味になります。
語尾が「e」で終わっている形容詞なので、男女同形です。
「métier」
「métier」は、「職業」「役割」などの意味の男性名詞です。
背景を見てみると
第15章の地理学者の星は、それまで王子さまが訪れたどの星よりもずっと大きいところでした。
王子さまは例によって、質問を始めるのですが、相手の地理学者はキチンと答えてくれます。
そして、地理学者がどういう職業なのかがわかると、王子さまはとても興味がそそられた様子で、今回のフレーズになるのです。
みんなの役に立つ人が好き
それまでたくさんの人に出会い、その都度相手を質問攻めにしてきた王子さま。
王子さまがどこに行っても相手のことを知りたがるのには、理由があるようです。
毎回、相手が自分の友だちにすべきかどうかを、品定めしています。
その価値基準は、他の存在にとって役に立つ人であるかどうか、のようです。
他の存在とは、人や動植物だけでなく、たとえば王子さまの星にある火山なども含めてだと思われます。
ホッとした王子さま
今回のフレーズは、まず感情の起伏を表す「ça」から始まり、間投詞の「enfin」が入っているという、かなり感情のこもったフレーズです。
これまで、ただ威張りたいだけの王様や、ただ星の数を数えて記録するだけのビジネスマンなど、仕事らしい仕事をせず、およそ他の存在の役に立つなど、眼中にない人々ばかりでした。
地理学者の仕事内容を聞いて、まともな職業だと感じているので、「ああ、ようやく出会えた!」といった感動と、ホッとした気持ちになったのでしょうね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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