54 かわいそうな王様! Il n’y en a qu’un.

名詞

隠されたネズミ 

今回は私の苦手な、ネズミのお話し。 

実は私、世界的に有名なキャラクターさえ、ネズミだというだけで敬遠してしまうほどのネズミ嫌いです。 

扱うフレーズの中には「ネズミ」という単語はありませんが、後半で登場します。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の「Il n’y en a qu’un.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第10章の中ほどから終わりに差しかかったところにあります。 

第10章では、王子さまと、訪問先の偉ぶった王様との会話が続きます。 

今回のフレーズは、王様のセリフです。 

「il n’y en a」

「il n’y en a」は否定表現で「それは存在しない」という意味です。 

肯定表現なら「il y en a」「それは存在する」になります。  

「il」 

「il」は3人称代名詞単数で、「彼」を表すのですが、モノやコトを受けて「それ」の意味になることもあります。 

このフレーズでの「il」は、特に意味を持ちません。 

「n’y」 

否定の「ne」と、代名詞の「y」が合わさった形です。 

本来の「y」は「そこ」などの意味ですが、ここでの「y」は意味を持たず、「il y a ~」という、決まった形の一部であるだけです。 

「en」 

「en」は、このフレーズの前の文脈からの指示語で、「それ」や「それら」を指します。 

「a」 

「a」は、英語の「have」に相当する動詞、「avoir」の直説法現在三人称単数の活用形です。 

「il y a ~」の形で使うなら、後ろに複数形が来ても「a」のままです。 

ただし時制は変化するので、過去形や未来形への変化はあり得ます。 

「qu’un」 

「qu’un」は、限定表現です。 

「1つだけ」「1つしか」などの意味があります。 

「qu’」 

「qu’」 は「que」の短縮形で、ここでは「~だけ」「~しか」という意味です。 

次の単語「un」が母音から始まっているので、短縮されています。 

「un」 

「un」は、数字の「1」ですが、男性形です。 

女性形なら「une」になり、発音も変わります。 

このフレーズの前にあり、指し示されているのが男性名詞なので、「un」を使っています。 

「en」は何を指している? 

「en」は、このフレーズの前の文脈からの指示語なので、詳細な背景を見てみます。 

第10章では、ごく小さな星に住む王様と、訪問者である王子さまとの掛け合いのようなやり取りが続きます。 

ひとりぼっちの王様は、王子さまを臣下にしたいので、法務大臣のイスを提案するのですが、裁く人がいないという理由で断られます。 

そこで年老いたネズミを裁くよう提案しますが、ネズミは1匹だけ。 

「en」が指しているのは、このネズミです。 

ネズミは2種類 

フランス語の「ネズミ」は、大きく分けて2種類あります。 

野ネズミやハツカネズミのような小さなものは、女性名詞の「souris」。 

ドブネズミのような大きなものは、男性名詞の「rat」です。 

「une souris」「un rat」と覚えましょう。 

なお、王様の星にいるのは「rat」の方なので、「qu’un」と言ったのですね。 

しかし、自分以外に存在するのはドブネズミだけなんて、かわいそうな王様です。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね! 

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