日本人には違和感?
今回のフレーズは、日本人にとっては誤解しやすいかもしれません。
日本人の常識からすると、少々違和感のある表現だからです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Je suis un homme sérieux !」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第7章の後半にあります。
第7章では、王子さまと語り手の男性の会話が続き、最後はバラの花の絵で終わっています。
今回のフレーズは、後半にあるセリフ「– Un quoi ?」の少し前にある、王子さまのセリフです。
なお、王子さまはこのフレーズを2回続けて言っており、二重カッコをつけて « Je suis un homme sérieux ! Je suis un homme sérieux ! » と表記されています。
「je suis ~」
「je suis ~」の意味は「わたし(僕・オレ)は~です」。
第15回でご紹介済みなので、要点を確認します。
「je」
- 1人称代名詞単数
- 「わたし」「僕」「オレ」などに相当
「suis」
- 英語の be動詞に相当する、être動詞の1人称単数の活用形
- 意味は「~です」
- 「suis」の主語になるのは、「je」のみ
「un」
「un」についても、簡単にまとめます。
- 不定冠詞男性単数形
- 特定できないものを指すときに使われる
「homme」
「homme」は「人/人間」「男/男性」を意味する男性名詞です。
「人/人間」は動物ではない、「男/男性」は女性ではないという意味で使います。
「sérieux」
「sérieux」は、人に対して使うなら「まじめな」、事柄について使うなら「重大な」という意味です。
このフレーズでは「un homme」に対して使っているので、「まじめな」という意味ですね。
ちなみに、「sérieux」の女性形は「sérieuse」で、発音が変化します。
女性形の語尾の「s」は、音が「z」になるので、注意してください。
女性バージョンは?
「Je suis un homme +(形容詞)」という形は、本当によく使われます。もちろん自分に対してだけでなく、相手のことや第三者に対しても使います。
- 主語が男性で単数なら
「主語 +(動詞 être)+ un homme +(形容詞)」
- 主語が女性で単数なら
「主語 +(動詞 être)+ une femme +(形容詞)」
なお、形容詞は姓によって変化します。
うさん臭い?
「Je suis un homme sérieux.」というフレーズを実生活で聞いたのは、いつだったのか、誰が相手だったのかはよく覚えていないのですが、おそらくセールスマンか、銀行などの担当者だったのではないかと思います。
でも、日本語で「オレはまじめな男なんだ」とか「私ってまじめなのよ!」などと言われたら、うさん臭く感じませんか?
社会のちがい
私自身は慣れるまで、うさん臭く感じてしまっていました。
その人がまじめな人かどうかは、自身ではなく、他人が評価するものと思っていたからです。
でも、親しい友人を含めた、何人ものフランス人が「Je suis un homme sérieux.」または「Je suis une femme sérieuse.」と言っているのを聞いて、少しずつ考え方が変わりました。
「自分自身でまじめな人間だと評価していい社会」だと気づいたのです。
副次的効果も!
日本人の親の元に日本で生まれ育ったので、自分でも気づかないうちに日本人としてのバイアスがかかっています。
それはフランス語圏の人たちも同じことで、お互いの考え方がかみ合わないこともしょっちゅうです。
でもだからこそ、話すことはとっても大事!
「フランス語上達のためにネイティブと話したら、視野が広がった」「誤解を解こうと一生懸命話したら、かえって語学の勉強になった」という経験も。
国際交流って、こういうことですよね!
ただし、相手がウソをついている可能性も十分にあります。
「Je suis un homme sérieux.」と言われても、判断はこちら側でもするということです。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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