辞書を引く前に
今回は、扱うフレーズにある単語だけでなく、自分が知らない単語を見つけた時の対処の仕方をお話しします。
もちろん、辞書を引くのは大切ですが、その前に一瞬だけ、した方がいいことがあるんです!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Mais les graines sont invisibles.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第5章の中ほどにあります。
第5章では、王子さまとの会話で語り手の男性が知った、王子さまの星のバオバブの木のことなどが語られます。
今回のフレーズは、第5章に3枚ある挿絵のうちの2枚目、王子さまの絵の少し前にあります。
「mais」
ここからは単語や言葉のかたまりを見ていきます。
「mais」の基本的な意味は「しかし」「けれど」で、逆説を表します。
他の単語と一緒になることもありますが、ここでは逆説の意味です。
「les」
「les」については、すでに何度かお話ししているので、簡単にまとめます。
- 定冠詞複数形(男女とも同じ)
- ある特定のものを指すときに使われる
「graines」
「(植物の)種」を意味する女性名詞「graine」の複数形です。
ただし日本語の「(植物の)種」は、かなり広範囲で、「graine」はその一部です。
ここでは複数形の「graines」のみが使われていますが、いい機会ですので、関連している単語をまとめます。
- 「graine」複数形「graines」女性名詞「(一般的な植物の)種子」ヒマワリの種など
- 「grain」複数形「grains」男性名詞「(穀物としての)種子」米・小麦など
- 「pépin」複数形「pépins」男性名詞「(果物などの小さい)種子」リンゴの種など
- 「noyau」複数形「noyaux」男性名詞「(果物などの大きく固い)種子」桃の種など
「sont」
英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称複数の活用形。
意味は「~です」に当たります。
ここでは「(植物の)種」を意味する女性名詞の複数形「graines」が主語なので、この活用形が使われています。
「invisibles」
「invisibles」は、形容詞「invisible」の複数形です。
「graines」が複数なので、「invisibles」と複数形になっています。
なお、「graines」は女性名詞ですが、「invisible」は「e」で終わっているため、男女とも同じなのです。
意味は「目に見えない」です。
種が見えない?
ここで背景を見てみます。
このフレーズの直前では、王子さまにとっての「よい植物の種」と「悪い植物の種」が語られています。
そしてそれらの種は、王子さまの星の土の中に埋もれているという前提です。
そこで今回のフレーズになるので、本来は目に見えるはずの種が「見えない」のです。
知らない単語を見つけたら
なお、「invisible」という単語は、たとえこれを知らなくても、ほかの単語から意味を想像することができます。
関連する言葉をまとめますね。
- 「voir」 – 見る
- 「vision」 – 視覚
- 「visible」 – 目に見える
- 「invisible」 – 目に見えない
「~ble」がつくと「~できる」、「in(またはim)」がつくと反対語になります。
知らない単語を見つけても、辞書を引く前に一度想像してみることで、辞書を引いた後の記憶の定着の助けになりますし、すぐに辞書を引けない状況でも、理解するのをあきらめなくて済むかもしれません。
ぜひ、知らない単語に出会った時のクセにしてくださいね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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