言葉のかたまりを知ろう!
並んだ単語を1つずつ見ている分にはわかりませんが、今回のフレーズには皮肉が隠されています。
単語を組み合わせることで、まるで日本語の熟語のように、一定の意味を持つ場合があります。
それを知ってから見ると、日本語にも存在する表現になりますよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Elles sont comme ça.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の後半にあります。
第4章では、トルコ人の天文学者のエピソードなどを通して、大人がいかに物事の本質を見ていないかを、語り手の男性がひとり語りをしています。
今回のフレーズは、第4章では最後になる、3枚目の挿絵から2段落目の終わりの方にあります。
「elles」
「elles」は3人称代名詞の女性・複数形です。
3人称代名詞は人・モノの両方に使われますが、人なら「彼女たち」モノなら「それら」という意味です。
このシリーズですでにご紹介した3人称代名詞とともに、ここで整理しておきます。
- 「il」3人称代名詞男性・単数
- 「ils」3人称代名詞男性・複数
- 「elle」3人称代名詞女性・単数
- 「elles」3人称代名詞女性・複数
「sont」
英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称複数の活用形。
意味は「~です」に当たります。
ここでは「彼女たち」を意味する「elles」が主語なので、この活用形が使われています。
ちなみに、男性・複数形の「ils」が主語の場合も、同じ活用形の「sont」が使われます。
「comme ça」
「comme ça」については前回(第18回)でご紹介済みですが、単語2つをかたまりのように覚えておくのがおススメです。
とてもよく使われる表現で、「そんな(こんな)ふうに」という意味です。
個々の単語もご説明します。
「comme」
第13回で「感動のcomme」として、第18回で「比較のcomme」としてご紹介しましたが、今回も前回同様「比較のcomme」で、「~のように」「~のような」という意味です。
「ça」
これも第9回でご紹介済みなので、要点のまとめです。
- 代名詞「cela」の話し言葉だが、実際にはかなり広範囲に使われている。
- 「cela」の意味は「あれ」「それ」だが、あまり距離に関係なく使われる。
- 「ça」は感情の起伏を表す場合がある。
ここでの「elles」とは?
前回の第18回をすでに読んでくださった方は、すでにお分かりかと思いますが、今回のフレーズ「Elles sont comme ça.」は前回の「Les grandes personnes sont comme ça.」にそっくりです。
フレーズの場所も、両方とも第4章なので、同じことを言っていると察しもつきます。
そう、「elles」とは「les grandes personnes」、つまり「(一般的な)大人」のことです。
「elles」という単語だけを見ると、意味は「彼女たち」または「それら」なのですが、日本語では「大人たち」を「彼女たち」と言い換えることはできないので、和訳する場合は他の表現を使うことになるでしょうね。
フランス語の特徴
なお、前回と今回は、あえてほぼ同じフレーズを扱いました。
「elles」という単語が誰または何を指すのかを、わかりやすくするのが目的です。
フランス語はよく、論理的な言語だと言われますが、今回の「elles」のように、女性形で複数であるという、いわば制限を設けることによって、この言葉が何を受けているのかを知らせようとしているのです。
もう一度具体的に言うと、「les grandes personnes」が女性形複数だから「elles」になっているというロジックがあります。
今回はこの女性形複数だけなので、単純でわかりやすいのですが、こうしたロジックをいくつも交錯させて話されるのがフランス語なのです。
慣れるまで、王子さまと続けよう!
面倒くさいですよね?
でも慣れてしまえば、ほとんど考えることもなく、口をついて出るようになります。
それまでは、できるだけ知っている話しを簡単なものから身につけていくのが近道です。
それも美しいフランス語で書かれた『星の王子さま』なのですから!
文法などを考えると頭が痛くなりますが、王子さまをモチベーションにして、どうぞ続けてくださいね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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