それぞれに別の名前が…
フランス語の動物の名前は、本当にややこしいです。
基本になるのはオスの名前ですが、その動物のメスが女性形になるだけのこともあれば、まったく別の名前になることがあります。
そして同じ動物の子どもにも、さらに別の名前が存在します。
つまり1種類の動物なのに、3つの別の名前をすべて覚えなければならないのがフランス語なのです。
そこで、この負担を少しでも軽くしようと考え、できるだけイメージしやすく、会話の中で使われることが多いフレーズで、基本形のオス・メス・子どもの名前を、動物ごとにご紹介します。
その第7回目は、ウサギです。
フランス語のウサギ
まず、ウサギの3種類の名前をご紹介します。
- un lapin(総称)
- une lapine(メス)
- un lapereau(子ども)
ウサギはオス・メスを区別することが少ない動物で、性別を意識せずに「lapin」と呼ばれることが多いものです。
稀に「お母さんウサギ」として「lapine(ウサギのメス)」という単語を使うことはありますが、ウサギのオスを話題にすることはまずありません。
それでもオス限定でウサギの話しをするなら、「lapin mâle(ウサギのオス)」のように「mâle(オスの)」という単語をつけることになります。
もう1種類のウサギ
ウサギに関しては、性別よりももっと大事な区別があります。
それがもう1種類のウサギである「lièvre」に関するものです。
こちらも、まずは3種類の名前をご紹介します。
- un lièvre(総称)
- une hase(メス)
- un levraut(子ども)
この「lièvre」も、性別を意識せずに「lièvre」と呼ばれることが多いものです。
そのため同様に、あえてオス限定にするなら、「mâle(オスの)」という単語をつけることになります。
2種類のウサギの違いとは?
「lapin」「lièvre」ともに、日本語ならウサギですが、フランス語では全く別の動物として扱われます。
イメージとして、「lapin」は「飼われているウサギ」、「lièvre」は「野ウサギ」のようにも言われるので、ここでは便宜上「lapin(飼われているウサギ)」「lièvre(野ウサギ)」ということにしますが、この分け方は正確とは言い切れません。
というのも、「lapin(飼われているウサギ)」が野生化しても「lièvre(野ウサギ)」とは呼ばれず、「lapin(飼われているウサギ)」のままです。
そしてたとえ「lièvre(野ウサギ)」を捕まえて家で飼ったとしても、「lapin(飼われているウサギ)」とは呼ばれず、「lièvre(野ウサギ)」のままなのです。
つまりフランス語の世界で「lapin」と「lièvre」は、よく似てはいるけれど別の動物、という認識なのです。
いろいろなウサギ
ウサギが登場する例文を挙げておきます。
- Il m’a posé un lapin hier soir.
(彼は昨夜、約束をすっぽかした)
- Il a tiré un lapin du chapeau.
(彼は思いがけない解決策を出した)
- Cette question a levé un lièvre.
(その質問が問題を提起した)
- On ne peut pas courir deux lièvres à la fois.
(二兎を追う)
などがあります。
ウサギはいない…
例文1の「poser un lapin à quelqu’un(人を待ちぼうけにする・約束をすっぽかす)」という言い方は、本当によく使われます。
「lapin」の方のウサギには、「逃げる」「よく繁殖する」というイメージがあるためです。
例文2の「Il a tiré un lapin du chapeau.(彼は思いがけない解決策を出した)」は、英語にも同様の表現があります。
例文3の「lever un lièvre」は、直訳すると「野ウサギを追い出す」ですが、それが転じて「問題を提起する」という意味になっています。
例文4の「courir deux lièvres à la fois」は「2羽の野ウサギを追う」つまり「二兎を追う者一兎も得ず」ですね。
ピーターは野ウサギ?
「lapin(飼われているウサギ)」と「lièvre(野ウサギ)」のように言われますが、どちらもウサギと捉える日本語ネイティブには、なかなかわかりにくいものです。
仕方ないので、私自身は『ピーターラビット』のようなウサギは「lapin」ではなく「lièvre」、と覚えていました。
しかし、実際に『ピーターラビット』のフランス語翻訳を見てビックリ!
ピーターは「lapin」と訳されていて、「lièvre」ではなかったのです!
その理由は、ピーターはお話しの中のキャラクターだから。
ウサギの種類としては、ピーターは「lièvre」かもしれませんが、キャラクターなので「lapin」なのです。
ウサギのミッフィーちゃんも、ピーターラビットのピーターも、フランス語の世界では同じ扱いということです。
「lièvre」として訳されているお話しといえば、『Le Lièvre et la Tortue(ウサギとカメ)』が有名です。
いわゆるキャラクター扱いではないので、「lapin」ではないんですね!

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