言い換えは不可!
日本語の外来語「ナイーブ」はフランス語→英語→日本語という順番で入った言葉で、「ナイーブな人」のように使われます。
フランス語の「naïf」は、そもそもの語源ではありますが、意味があまりにも違ってしまっているので、日本語の「ナイーブ」を「naïf」で言い換えることはできません。
その理由はなぜなのか、「ナイーブ」はどのように言えばいいのかをご紹介します。
日本語の「ナイーブ」
まず、日本語の「ナイーブ」とは何を表すのかを確認しておきます。
「ナイーブ」は主に人に対して使われて、心理的に繊細で、傷つきやすい・影響を受けやすいといった意味になります。
日常会話の中で感情面に限定して使い、やや配慮や注意を含む評価をする言葉です。
フランス語「naïf」とは?
前述通り、フランス語の「naïf」はそもそもの語源ですが、日本語の「ナイーブ」の持つ「心理的に繊細で、傷つきやすい・影響を受けやすい」といった意味はありません。
2026年2月9日配信の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語㊼ナイーブでご紹介しているので、重複を避けるために詳細はそちらに譲りますが、ここでは代表的な意味を1つだけ、例文とともにご紹介しておきます。
- Il est naïf.
(彼は純粋だ)
フランス語の「naïf」を直接的に人に対して使うと、多くの場合「純粋・無垢」という意味になります。
繊細・傷つきやすいなどの意味にはならないので、日本語の「ナイーブ」をフランスで言いたい場合には、他の単語を使うことになります。
「ナイーブ」をフランス語に
でも日本語の「ナイーブ」、つまり心理的に繊細で、影響を受けやすく、傷つきやすい状態をひと言で表すフランス語の単語は存在しません。
そのため、意味ごとに複数の言葉を使い分けることになります。
① 感情的に傷つきやすい
まず感情的に傷つきやすい、感情が動きやすく心が反応しやすい状態を表すなら、「sensible」を使います。
- Il est très sensible.
(彼はとても繊細だ)
この言い方は日常会話でもよく使われて自然ですが、日本語の「ナイーブ」の持つ気遣いや婉曲表現のニュアンスはほぼありません。
② 精神的に弱い・打たれ弱い
次に壊れやすい・耐性が低い状態を表すなら、「fragile」を使います。
- Il est fragile psychologiquement.
(彼は精神的に弱い)
「psychologiquement(精神的に)」は必ずしも加えなくてもいいのですが、つければ「注意して扱う必要がある」という感じが強まります。
この言い方は日本語「ナイーブ」のネガティブ寄りとも言える表現で、かなり直接的・強めなので、日常会話でも使われることはあるものの、場合によっては陰口にもなってしまうので、注意が必要です。
③ 神経が細かい
緊張しやすいという状態を表すなら、「nerveux」を使います。
- Il est un peu nerveux.
(彼は少し神経質だ)
これも日本語よりも直接的・批判的な表現で、「扱いづらさ」を含みます。
そのため「un peu(少し)」をつけることがよくあります。
④ 言い方を和らげたいとき(婉曲)
前述通り、日本語の「ナイーブ」には配慮のニュアンスがありますが、これはそもそも、「ナイーブ」が外来語として取り入れられたときに、直接言うと角が立つ評価を和らげる役目を持たされたと考えられます。
ですので、フランス語で同じ意味を持たせようとすれば、それなりの言葉を付け加える必要があるわけです。
その目的でよく使われるのは、「assez sensible」という言い方です。
- C’est quelqu’un d’assez sensible.
(わりと繊細な人なんです)
この言い方なら日本語の「ナイーブですから…」に近く、気遣い表現になります。
外来語が婉曲表現として利用されているのは、もしかすると日本語独特かもしれませんね。
少なくとも私自身が知っている、日本語由来のフランス語の外来語には、言い方を和らげる役目を持っている言葉が思い浮かびません。

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