意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第39回目は、「ロマン」と「ロマンチック」です。
日本語の「ロマン」と「ロマンチック」
日本語の「ロマン」と「ロマンチック」はフランス語由来の外来語です。
「ロマン」は、「宇宙開発にはロマンがある」や「古代文明のロマンを感じる」などのように使われ、「夢」「理想」「憧れ」「情熱」「冒険心」など、人の感情や理想の世界を表します。
文学の意味よりも、「心を動かす夢・理想・憧れ」という 感情的・象徴的な意味 で使われます。
そして「ロマンチック」は「ロマンチックな夜景」や「ロマンチックな気分」のように、「恋愛的・甘い雰囲気・感傷的」という 感情面に特化した意味になっています。
- ロマン「心を動かす夢・理想・憧れ」
- ロマンチック「恋愛的・甘い雰囲気・感傷的」
フランス語の「roman」と「romantique」
フランス語の「roman」は「長編小説」という意味です。
フランス語では「roman」は文学作品という具体的な意味であり、日本語の「ロマン」のような 情緒的・感情的なニュアンスは含まれません。
さまざまな小説のジャンルを挙げておきます。
- un roman d’amour(恋愛小説)
- un roman policier(探偵小説)
- un roman de science-fiction(SF小説)
- un roman fantastique(ファンタジー小説)
- un roman historique(歴史小説)
- un roman engagé(社会派小説)
その反面、「roman」の派生語である「romantique」には、日本語の「ロマンチック」が持つ「恋愛的・甘い雰囲気・感傷的」な意味が含まれています。
ただし「romantique」は、もともとは19世紀のヨーロッパの文学・芸術運動である「ロマン派(romantisme)」からできた形容詞で、「ロマン派的な」 という意味でした。
そのためフランス語の「romantique」には、今でも「ロマン派の」「ロマン派的な」という意味が残っています。
フランス語の「roman」と「romantique」の使い方をまとめると、
- roman「長編小説」
- romantique①「恋愛的・甘い雰囲気・感傷的」
- romantique②「ロマン派の」「ロマン派的な」
ということになります。
いろいろな「roman」と「romantique」
「roman」と「romantique」の例文を挙げておきます。
- Ce film est basé sur un roman de science-fiction.
(この映画の原作はSF小説だ)
→ roman「長編小説」
- Victor Hugo est un auteur romantique.
(ヴィクトル・ユゴーはロマン主義の作家だ)
→ romantique②「ロマン派の」「ロマン派的な」
- C’est un endroit très romantique.
(とてもロマンチックな場所だ)
→ romantique①「恋愛的・甘い雰囲気・感傷的」
などがあります。
「roman」の関連語
なお、フランス語の「roman」は「長編小説」という意味だけなので、その他の関連語も挙げておきます。
- une nouvelle 短編小説
- un conte おとぎ話
- une saga 大河小説(世代をまたぐ長編)
- un récit 物語(語りの形態一般)

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