意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第28回目は、「ソース」です。
日本語の「ソース」
日本語の「ソース」は英語由来の外来語です。
「ソース」は、ウスターソース・とんかつソースなど「料理に使う液状の調味料」 を意味します。
また一方で、「ニュースのソース」といった使い方の「情報の出所・根拠」という意味もあります。
- ソース①「料理に使う液状の調味料」
- ソース②「情報の出所・根拠」
フランス語の「sauce」と「source」
前述通り、日本語の「ソース」は英語由来ですが、元をたどるとフランス語に行きつきます。
そして、英語・フランス語ともに、2種類の単語が元になっています。
日本語で「ソース」と言われているのは、フランス語の「sauce」と「source」なのです。
この2つ、フランス語と英語でのスペルは一緒で、どちらの言語でも発音が同じではありません。
その結果、フランス語でも英語でも、別単語として認識されています。
つまり、元は2つの全く異なる単語なのに、日本語に入った途端に同じ音だと認識されてしまったわけです。
フランス語の「sauce」
では、フランス語の「sauce」の方から意味を見ていきます。
フランス語の「sauce」は「食事の調味液全般」を指します。
日本語でただ単に「ソース」と言えば、前述のウスターソース・とんかつソースなどを指し、例えばしょうゆは「ソース」とは言いません。
でもフランス語の「sauce」の語源のラテン語は「塩味のあるもの」で、文字通り「食事の調味液全般」です。
フランス語で「sauce soja(しょうゆ)」と言いますし、最近では「sauce teriyaki(てりやきソース)」なども人気です。
日本でもフランス料理の影響で「赤ワインソース」のように、熱いものを「ソース」と呼ぶことに抵抗がなくなってはきています。
それでも「sauce soja(しょうゆ)」という言い方を初めて聞くと、やはり意外に感じるものです。
またフランス語の「sauce」には、比ゆ的に「やり方・スタイル」という意味もあります。
フランス語の「sauce」の使い方をまとめると、
- sauce①「(熱いものも含む)食事の調味液全般」
- sauce②「(比ゆ的に)やり方・スタイル」
ということになります。
フランス語の「source」
そして、フランス語の「source」の語源になったラテン語は「湧き上がる・立ち上がる」という意味です。
そこから「泉・水の湧き出るところ」という意味になり、それがさらに「出所・原因」、また文学的に「起点・はじまり」の意味でも使われます。
フランス語の「source」の使い方をまとめると、
- source①「泉・水の湧き出るところ」
- source②「出所・原因」
- source③「(文学的に)起点・はじまり」
ということになります。
いろいろな「sauce」と「source」
「sauce」と「source」の使用例を挙げておきます。
- Cette sauce tomate est faite maison.
(このトマトソースは自家製だ)
→ sauce①「(熱いものも含む)食事の調味液全般」
- Il allonge la sauce à chaque fois pour raconter cette histoire.
(彼はその話しをするたびに話しを盛る)
→ sauce②「(比ゆ的に)やり方・スタイル」
- L’eau vient d’une source naturelle.
(水は自然の泉から来ている)
→ source①「泉・水の湧き出るところ」
- La fatigue est la source de son problème.
(疲れが彼の問題の原因だ)
→ source②「出所・原因」
などがあります。
2番目のフレーズにある「allonger la sauce」は、そもそも「(料理の)ソースをのばす」という意味なのですが、sauce②「(比ゆ的に)やり方・スタイル」にも用いられて、ここでの文脈から「話しを盛る」という意味になっています。
もちろん、料理のレシピなどで使われるなら、「allonger la sauce(ソースをのばす)」という意味で普通に使われる表現です。
「ソース」の意味の違いとは?
日本語ネイティブがカタカナにすると、どうしても「ソース」になってしまう、「sauce」と「source」ですが、フランス語や英語のネイティブたちにとっては、同音異義語でさえない、全く別の単語です。
やはりフランス語の単語をカタカナで表記するのは、ある程度リスクが伴うということです。
それにしても、「sauce」と「source」が「ソース」になったということは、フランス語や英語という入口が2つだったのに、日本語での出口は1つになったということ。
日本語の「ソース」の2つの意味があまりにも違いすぎるのには、ちゃんとした理由があったのです!
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