擬音語の翻訳
日本語ネイティブだとあまり意識しないものですが、擬音語に関しては、世界一の言語が日本語です。
逆に言うと、フランス語の擬音語は日本語に比べてかなり少ないので、マンガ・アニメでどのように翻訳されているかを知ることで覚えやすくなります。
第1回目は、「claque」と「clac」を扱います。
マンガ・アニメで育ったフランス人
特に21世紀に入ってからのフランスでの日本のマンガ・アニメ人気は、フランス在住者として肌身で感じるばかりです。
今や30代までのフランス人は、ほぼ全員が日本のポップカルチャーで育ったと言っても過言ではないほど。
もちろん、多くの人は成長とともにマンガ・アニメから距離を置くようになりますが、子どもの頃に夢中になった記憶は残っていて、彼らにとって日本はノスタルジーを感じさせる存在のようです。
ただし彼らが夢中になったマンガやアニメは、翻訳版のマンガであり、字幕付きのアニメ。
翻訳された漫画はまだしも、字幕のついたアニメに関しては、目にするたびに日本語で楽しめる幸せを感じます。
とりわけ、マンガ・アニメでは高頻度で登場する擬音語ですから、「こんな表現でフランス人は理解できているんだろうか…」と思うこともしばしば。
それでももちろん、わたし自身がそれ以上の翻訳をできるわけでもなく、なんとなく気の毒に思っています。
感覚で覚えよう!
さて、前置きが大変長くなってしまいましたが、逆に言えば、フランス語の擬音語を覚えるのは簡単だということです。
数が少ないうえ、どのような日本語があてはめられているのかを知れば、感覚的に覚えられるからです。
日本語のマンガ・アニメの擬音語をフランス語に訳すときは、必ずしも同じ擬音をそのまま使うのではなく、「効果音らしいフランス語」に置き換えることが多いです。
今回扱う「claque」と「clac」も、その代表的な例です。
claque
擬音語の「Claque !」は、「 パシッ!」のような平手打ちの音や、「バタン!」のようなドアの閉まる音など大きな音に使われます。
そして「claque」は、名詞としても使われます。
- claque①「(平手打ちの)バシッ!」
- claque②「(ドアの閉まる)バタン!」
名詞としての例文:
- Elle lui a donné une claque.
(彼女は彼を平手打ちした)
- J’ai pris une claque.
(痛い目に遭った)
「claque」が単数で「donner une claque(平手打ちをする)」、複数だと「donner des claques(何度もビンタする)」になります。
「prendre une claque(痛い目に遭う)」は、「平手打ち」の意味が広がった使い方です。
clac
「clac」は、通常は擬音語としてのみ使われる言葉です。
「Clac !」は、「カチッ!」という鍵の開閉音や、「カシャッ!」というカメラのシャッター音など、硬い小さな音、小気味良く短い音を表すときに使われます。
- clac①「(鍵の開閉音)カチッ!」
- clac②「(カメラのシャッター音)カシャッ!」
「claque」と「clac」の違い
一見するとよく似ている「claque」と「clac」ですが、「claque」は比較的大きな音、「clac」は硬い小さな音という違いがあります。
また、「claque」の名詞としての用法である「donner une claque(平手打ちをする)」や「prendre une claque(痛い目に遭う)」はよく使われるので、ぜひこの機会に覚えてみてくださいね!
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