共感も、発見も!
フランス語にもことわざは存在していて、日常生活の中で耳にすることがあります。
すると、「環境も文化も日本とはまったく違うのに、同じことを言うのね!」と思うこともあれば、「これはフランスらしい言い方ね!」と感じることも。
今回はその1つ目、「En avril, ne te découvre pas d’un fil.」をご紹介します。
「En avril, ne te découvre pas d’un fil.」
「en」は前置詞、「 avril」は「4月」という意味の男性名詞です。
「en avril」で「4月に」「4月には」などの意味になります。
「ne ~ pas」は否定の「~ない」、ここでの「te」は2人称代名詞単数の再帰代名詞です。
「découvre」は「découvrir」の命令形です。
「découvrir」は「(モノの)覆いを取る」「(人の)衣類を脱がせる」などの意味ですが、再帰代名詞を伴う代名動詞になっているので、「自分の服を脱がせる」→「服を脱ぐ」「薄着をする」という意味になります。
なお、この配信では再帰代名詞・代名動詞について繰り返し触れているのですが、もしもご存じない場合は、【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】第140回などでご紹介しています。
「d’un」は前置詞の「de」の省略形「d’」と不定冠詞単数男性形「un」が合わさった形、「fil」は男性名詞で「糸」「電線」などの意味です。
フレーズの意味
さて、この配信は2025年4月30日を予定していますが、4月は1日のエイプリルフール(フランス語だと poisson d’avril = 4月の魚)に始まり、「En avril, ne te découvre pas d’un fil.」というフレーズを何度となく聞いたり言ったりしています。
「en avril」で「4月に」「4月には」などですが、ここでは「4月中は」と解釈できます。
動詞の部分は前述通り、再帰代名詞を伴った代名動詞の命令形で、これがさらに否定されています。
そして命令形の中でも、2人称代名詞単数が使われているため、親しい間柄での命令形です。
つまり代名動詞「se découvrir(服を脱ぐ/薄着をする)」が、親しい間柄の命令形「服を脱げ/薄着をしろ」になり、これが否定されているので、「服を脱ぐな/薄着をするな」になっていることがわかります。
さらに「d’un fil」がついているので、この部分を直訳すると「1本の糸も」ということに。
要するに、「(暖かくなったからと言っても)4月中は少しも薄着をするな」ということなのですが、強調するための「少しも」の部分が、「1本の糸すらも」という言い方になっているのがフランスらしいと言うか、ほほえましいですよね?
「4月に」の他の言い方
ちなみに、「avril」は「4月」という意味ですが、「4月に」と言いたい場合には「en avril」の他に
- au mois d’avril
という言い方があります。
ここでの「au」は前置詞の「à」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったもの、「mois」は「月」という意味の男性名詞です。
直訳すると「4月の月に」になってしまうのですが、この言い方は話し言葉・書き言葉の両方で、とてもよく使われます。
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