文脈を見極めよう!
今回のフレーズは短いのですが、それもそのはず、主語や動詞などが省略されています。
文脈から何を言おうとしている部分なのかを考え、何が省略されているのかを見つけましょう!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Pas le temps de la rallumer.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第13章の挿絵から2行目にあるビジネスマンのセリフです。
「pas le temps de la rallumer」
「pas」は否定語、「le」は定冠詞単数男性形、「temps」は男性名詞で「時間」「時代」などの意味です。
「de」は前置詞、ここでの「la」は定冠詞ではなく、目的語です。
「rallumer」は動詞の原形で「(消えた火を)またつける」という意味です。
背景を見てみると
王子さまが4番目に訪問したのは、1人で計算ばかりを繰り返すビジネスマンが暮らす小さな星でした。
計算に夢中なあまり、くわえたタバコに火がついていないことにすら、気がついていない様子です。
王子さまは挨拶の後すぐに「あなたのタバコには火がついていない」と指摘したのですが、ビジネスマンは相変わらず計算に忙しく、口をついて出るのは数式や数字ばかり。
それでも、その合間には王子さまに挨拶を返し、今回のフレーズではタバコの火についても答えています。
回答の内容
さて背景にある通り、今回のフレーズはビジネスマンのセリフで、王子さまの指摘への回答部分です。
その王子さまの指摘とは、このシリーズの第57回で扱った「Votre cigarette est éteinte.(あなたのタバコには火がついていない)」でした。
今回のフレーズはこの指摘への回答であり、「le temps(時間)」や「rallumer(消えた火をまたつける)」という単語があるうえ、否定語の「pas」で始まっているので、「火をまたつける時間がない」と答えているのだろうということは、予測がつきます。
動詞の原形に注目!
そしてもう1つの注目ポイントは、「rallumer(消えた火をまたつける)」という動詞が原形で使われていることです。
そこで見えてくるのが、「avoir le temps de +(動詞の原形)」という言い方です。
意味は「~する時間がある」なので、このフレーズでは「わたしにはタバコの火をまたつける時間がない」という内容を言いたいのだろうということがわかります。
フレーズ本来の形
すると、主語「je(わたし)」、動詞「avoir」であり、「ne ~ pas(~ない)」の一部である「ne」が省略されていることがわかります。
つまりこのフレーズの本来の形は、次のようになります。
- Je n’ai pas le temps de la rallumer.
(火をまたつける時間がない)
なお、目的語の「la」に当たるのは「cigarette(タバコ)」です。
これが女性名詞の単数形なので、女性単数形の代名詞「la」が使われています。
「rallumer」について
最後に、「rallumer(消えた火をまたつける)」という動詞は、「allumer(火をつける)」という動詞に、繰り返しの接頭部分がついたものです。
繰り返しには、「re-」という形がよくつかわれますが、「allumer(火をつける)」が母音から始まっているので、「r-」のみをつけた形になっています。
- allumer la cigarette
(タバコに火をつける)
- rallumer la cigarette
(タバコにまた火をつける)
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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