いくつもある足し算の言い方
今回は4つのフレーズを扱いますが、そのうち3つには数字が並んでいます。
足し算とその結果を言っているフレーズだからです。
ただし1つは省略形、残りの2つはそれをさらに省略した形です。
話し言葉でよく使われる、足し算の言い方をご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Trois et deux font cinq.」「Cinq et sept douze.」「Douze et trois quinze.」「Bonjour.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第13章の挿絵から2行目にあるビジネスマンのセリフです。
「trois et deux font cinq」
「trois」は数字の「3」、ここでの「et」は足し算の「プラス」の代わりに使われている「~と~」です。
「deux」は数字の「2」、「font」は「~を作る」「~をする」という意味の「faire」の活用形(現在形)、「cinq」は数字の「5」です。
「cinq et sept douze」
「cinq」は前述通り数字の「5」、ここでの「et」も、足し算の「プラス」の代わりに使われている「~と~」です。
「sept」は数字の「7」、「douze」は数字の「12」です。
「douze et trois quinze」「bonjour」
「douze」は前述通り数字の「12」、ここでの「et」も、足し算の「プラス」の代わりに使われている「~と~」です。
「trois」も前述通り数字の「3」、「quinze」は数字の「15」です。
「bonjour」は「おはよう」または「こんにちは」ですが、日本語とは時間のズレが生じる場合があります。
この詳細はこのシリーズの第70回でご紹介しています。
背景を見てみると
王子さまが4番目に訪問したのは、1人で計算ばかりを繰り返すビジネスマンが暮らす小さな星でした。
計算に夢中なあまり、くわえたタバコに火がついていないことにすら、気がついていない様子です。
今回のフレーズは、王子さまの挨拶の後、ビジネスマンが最初に口にしたセリフです。
実は簡潔バージョン
今回扱うフレーズの3つ目までは
- Trois et deux font cinq.
- Cinq et sept douze.
- Douze et trois quinze.
であり、すべて足し算なのですが、1番の「Trois et deux font cinq.」にのみ、動詞「faire」の現在形「font」が使われています。
「faire」には「~を作る」「~をする」の他に「~になる」という意味もあり、「3と2を合わせると5になる」 というニュアンスです。
この「A et B font C.」という形は、フランス語の足し算の表現としてよく使われます。
「3 + 2 = 5」の正式な読み方ではないものの、話し言葉としては一般的です。
さらに省略!
それに対し、2番の「Cinq et sept douze.」と3番の「Douze et trois quinze.」には、「font」がついていません。
この「A et B C.」という形は、「A et B font C.」の「font」をさらに省略したものです。
「A et B font C.」自体が簡易バージョンであるのに、「font」さえも取ってしまっています。
ですが実際の会話では、本当によく使われます。
一番使われるのは?
逆に、「A + B = C」の正式な読み方をすると、まるで小学生の子どもが学校で習ってきたことをオウム返しのように言っているのかのような印象さえあります。
会話の中でもっとも使われるのは「A et B C.」で、「A et B font C.」だと少していねいに聞こえます。
「A et B C.」が好まれるのは、簡単で簡潔に伝えられるということもありますが、リズムがいいからという理由もあるようです。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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