若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第4回目「apéro」です。
旅先で見た日本人
旅行で日本に行ったフランス人が帰って来ると、よく言われるのが「日本人って、けっこうお酒を飲むんだね!」ということです。
フランス人の日本人に対するイメージと言えば「まじめで勤勉」「よく働く」というものなので、仕事終わりに豹変した日本人を見て驚いてしまうのです。
でも私の知る限り、日本人のそうした姿を目撃して、眉をひそめるフランス人はほとんどいません。
「日本には1ヶ月のバカンスなんてないんでしょう?どこかでストレス発散しないと、やっていられないよね~!」と、好意的な反応が多いです。
逆に、それまではロボットのように働く人たちだと思っていたのに、人間らしい姿を見て親しみを感じたらしいのです。
「apéro」とは?
そして日本帰りのフランス人が口をそろえて言うのは、「日本には気軽に飲めるお店がたくさんあって、いいよね~!しかも安いし!」ということです。
もちろんフランスにもバーなどはありますが、日本ほど治安が良くないこと、値段が高いこと、その割にはおつまみなどが充実しているわけではないことなどの理由で、ホームパーティーが多いのです。
そうした飲み会が「apéro」と呼ばれます。
本来は「apéritif(アペリティフ)」の略で食前酒を意味するのですが、気取らない飲み会も「apéro」と言われるのです。
「apéro」の使用例
なので、「Viens chez moi ce soir, on fait un apéro !(今晩うちにおいでよ、飲み会をするよ!)」のように言われた時の「apéro」には「食前酒」という意味はなく、「気取らない飲み会」です。
そしてこのフレーズでもわかる通り、「apéro」は男性名詞なので「un apéro」のように男性形の冠詞がつけられます。
これは元の単語「apéritif」が男性名詞だからですが、短縮しているのに「apéri」ではなく「apéro」です。
というのも、フランス語で略語が作られる場合には、語末を「o」で終わる形にすることが多いのです。
おそらくは語感が好まれるためだと思います。
「apéro」で何を食べる?
ちなみに、個人宅で「apéro」と称して誘われた場合、出される食べ物は本当にまちまちです。
本来フランス人の「apéritif(アペリティフ)」と言えば、おつまみはポテトチップスとピーナッツだけ、などということも多いので、食べ物はほとんどないかもしれません。
でも人によっては、手の込んだおつまみをたくさん用意して待っている場合もあります。
こうした楽しいパーティー、チャンスがあったら是非参加して見てくださいね!
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