274 くっつけるのはヤメテ! auxquels ils ressemblent beaucoup

その他(王子さま)

3つはひどい!

今回のフレーズにある「auxquels」は、3つの単語がつながったものです。 

2つまではまだしも、3つの単語をくっつけるなんて…。 

できるだけシンプルにして、ご紹介します。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「auxquels ils ressemblent beaucoup」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第5章の中ほどにあります。 

第5章2枚目の挿絵から3つ目にあるフレーズの一部で、王子さまのセリフです。 

「auxquels ils ressemblent beaucoup」

「auxquels」は後述します。 

「ils」は「彼ら」「それら」、「ressemble」は「ressembler」の活用形(現在形)です。 

「ressembler à ~」の形で「(人・モノ・事柄が)~に似ている」という意味になります。 

ここでの「beaucoup」は動詞の強調語で、「大いに」「非常に」という意味です。 

背景を見てみると

語り手の男性は一般論として、植物がどのように地上に姿を現すのかを説明しています。 

地上にいる私たちからは見えない、土の中に眠っている種には、よい植物のよい種と、悪い植物の悪い種があります。 

王子さまの星には、恐ろしい種が存在しており、それはバオバブの種でした。 

バオバブへの対処を怠れば、最悪の場合には星の滅亡につながってしまいます。 

今回扱うのは長いフレーズの中ほどの部分で、王子さまの気づきについて語られています。 

フレーズの全体は: 

「Il faut s’astreindre régulièrement à arracher les baobabs dès qu’on les distingue d’avec les rosiers auxquels ils ressemblent beaucoup quand ils sont très jeunes.」 

ここでの「ils」

「auxquels」をご紹介する前に、今回扱う部分の主語である「ils」について確認しておきます。 

「ils」は複数男性形なので、男性名詞の複数形を指しています。 

具体的には、このフレーズの始めの部分にある「les baobabs(バオバブ)」のことです。 

「auxquels」について

では「auxquels」についてご紹介しますが、冒頭で触れた通り、これは3つもの単語がつながった形なので、一筋縄ではいきません。 

分解した方が、わかりやすくなります。 

まず分けられるのは、「aux」+「quels」ということです。 

「quel」の変化

ここまでお話しすれば、このブログをよく読んでくださっている方なら、疑問形容詞の「quel」を思い出されたかもしれません。 

このシリーズの第121回でまとめていて、形容詞なので変化するということにも触れています。 

復習してみましょう! 

 男性形 女性形 
単数 quel quelle 
複数 quels quelles 
「quel」の変化 

定冠詞 +「quel」

そしてなぜか「quel」の前に定冠詞がつくと、関係代名詞に変身します。 

基本の形は単数男性形なので、「le」+「quel」=「lequel」です。 

ただしせっかく名詞の仲間である関係代名詞になったのに、なぜか形容詞と同じく性・数で変化するという厄介さからは逃げられません。 

「quel」の変化はそのままに、語頭にそれぞれ「le」「la」「les」の定冠詞がつく形になります。 

「lequel」の変化をまとめます。 

 男性形 女性形 
単数 lequel laquelle 
複数 lesquels lesquelles 
「lequel」の変化

前置詞までプラス!

「quel」の前に定冠詞がついただけでもおなか一杯なのに、さらに前置詞までくっついた形が存在します。 

こちらも「lequel」などと同様に関係代名詞扱いです。 

今回のフレーズにある「auxquels」はこの仲間です。  

前置詞 + 定冠詞

まず「前置詞」+「定冠詞」の部分をご紹介します。 

  • 単数男性形「à + le = au」 
  • 単数女性形「à + la」(そのまま) 
  • 複数形男女「à + les = aux」 
前置詞 + 定冠詞 +「quel」

では、最終形態の前置詞 + 定冠詞 +「quel」にすべく、出来上がった「前置詞 + 定冠詞」である、「au」「à la」「aux」を「quel」の変化に合わせて重ねていきます。  

こちらも基本の形は単数男性形なので、「au」+「quel」=「auquel」です。 

「auquel」の変化をまとめます。 

 男性形 女性形 
単数 auquel à laquelle 
複数 auxquels auxquelles 
「auquel」の変化

「auquel」の注意点

今回のフレーズにある「auxquels」は、前置詞の「à」に定冠詞と「quel」がついた「auquel」の複数男性形だということが、わかっていただけたでしょうか? 

「auquel」の変化の注意点としては、単数女性形は「à + la」のままなので、「à」が離れたままになっていることが挙げられます。 

また複数形の場合、前置詞と定冠詞だけなら性に関係なく同じ形の「aux」になるのに、「quel」の部分の変化の仕方が違うので、語頭は一緒でも語尾は変わるということです。 

なぜ前置詞まで?

今回のフレーズの「auxquels」について、元になっている3つの単語と変化の仕方については、お分かりいただけたと思います。 

でもそもそも、定冠詞はともかく、なぜ前置詞まで関係代名詞に盛り込まなければいけないのか、と思いませんか? 

この点に関しては、私も本当にそう思うのですが、今回扱う部分をよく見ると、ほんの少し納得できます。 

というのも、「auxquels ils ressemblent beaucoup」の動詞「ressemble」は「ressembler」の現在形であり、「ressembler à ~」の形で「(人・モノ・事柄が)~に似ている」という意味になるからです。 

つまり「auxquels」に含まれている「à」とは、「ressembler à ~」の中の「à」なのです。 

「auxquels」の意味

最後に、今回のフレーズの「auxquels」の意味について考えます。 

先ほども触れた通り、今回の部分の主語である「ils」は「les baobabs(バオバブ)」のことです。 

今回扱う「auxquels ils ressemblent beaucoup」の「auxquels」以外の意味は「それら(バオバブ)に非常に似ている」になります。 

そして「auxquels」は、「ressembler à ~(~に似ている)」の「à」がついた、男性名詞の複数形を受けています。 

今回のフレーズにある「les baobabs(バオバブ)」以外の男性名詞の複数形と言えば、「les rosiers(バラの木)」で、「auxquels」はこれを受けています。 

ただし関係代名詞なので、和訳するとあまり意味を持たないことが多いです。 

なので今回扱う部分は、「(バラの木は)それら(バオバブ)に非常に似ている」ということになります。 

これがフランス語!

できるだけシンプルにするために、3つも繋がった単語を分解することになり、長くなってしまいました。 

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。 

冠詞だけならともかく、それに加えて前置詞まで含まれているなんて、「何もそこまでして、中に入れ込まなくても!」と思いませんか? 

本当に「くっつけるのはヤメテ!」と言いたい気分になりますが、これがフランス語です。 

あきらめて覚えるしかないのです…。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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