271 複数形の不思議! Quand on a terminé sa toilette du matin, il faut faire soigneusement la toilette de la planète.

名詞

お手洗いではない「la toilette」

今回のキーワードは「la toilette」です。 

「な~んだ、トイレのことか!」と思った方は、不正解。 

ただし、同じフランス語圏でも、国によって扱い方が違うそうです。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Quand on a terminé sa toilette du matin, il faut faire soigneusement la toilette de la planète.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第5章の中ほどにあります。 

第5章2枚目の挿絵から2つ目にあるフレーズで、王子さまのセリフです。 

「quand on a terminé」

「quand」は疑問詞として使われる時は「いつ」という意味ですが、ここでは「?」がないので、接続詞としての使い方です。 

その場合は「~する時に」「~するたびに」という意味になります。 

「on」特殊な人称代名詞で、主語としての「人」を表すのが基本的な働きです。 

「a」は「avoir」の活用形(現在形)、「terminé」は「terminer」の過去分詞です。 

「terminer」は人が主語で「(会などを)終える」「(やりかけの仕事などを)仕上げる」「(残された時間などを)過ごす」という意味です。 

「a(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

「sa toilette du matin」

「sa」は所有形容詞3人称単数女性形で「彼の」「彼女の」「その」という意味です。 

話し手の性別ではなく、後に来る名詞の性別によります。 

「toilette」は女性名詞ですが、詳細は後述します。 

「du」は前置詞の「de」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったもの、「matin」は「朝」を意味する男性名詞です。 

「il faut faire soigneusement la toilette de la planète」

「il」は形式上の主語で意味を持たない使い方、「faut」は動詞「falloir」の活用形(現在形)です。 

「falloir」の使い方はほとんどが「il faut ~」の形です。 

ここでは「il faut +(動詞の原形)」で「~しなければならない」という意味です。 

動詞の原形部分には「~を作る」「~をする」です」が基本的な意味である「faire」が使われています。 

「soigneusement」は「念を入れて」「ていねいに」、「la」は定冠詞単数女性形、「planète」は女性名詞で「惑星」という意味です。 

背景を見てみると

語り手の男性は一般論として、植物がどのように地上に姿を現すのかを説明しています。 

地上にいる私たちからは見えない、土の中に眠っている種には、よい植物のよい種と、悪い植物の悪い種があります。 

王子さまの星には、恐ろしい種が存在しており、それはバオバブの種でした。 

バオバブへの対処を怠れば、最悪の場合には星の滅亡につながってしまいます。 

今回のフレーズでは、王子さまが日々行わなければならないことが語られています。 

「toilette」

さて、「toilette」という単語を見て「トイレ/お手洗い」をイメージした方、必ずしも間違いではありません。 

でも冒頭で不正解とご紹介したのには、理由があります。 

なぜなら、フランス語の「トイレ」は通常、「les toilettes」で複数形だからです。 

内容は人それぞれ?

今回のフレーズの「sa toilette」や「la toilette」のように単数形で使われると、「トイレ/お手洗い」の意味にはなりません。 

「(朝起きてから人にあっても恥ずかしくない程度に)身なりを整えること」の意味です。 

なので、具体的な内容は人それぞれです。 

一般的には髪をとかしたり歯を磨いたりすることに加え、男性の髭剃りや女性のお化粧などです。 

また、「朝起きたら、まずシャワーを浴びる」という人ならシャワーも含まれます。 

ネイティブに聞いても無意味

ただしこの使い方は、フランス語圏すべての共通ではないようです。 

例えばベルギーやカナダのケベック州では、「la toilette」が「トイレ/お手洗い」という意味で使われているそうです。 

フランスでは、ベルギー国境に近い北フランスも含めた全土で、複数形の「les toilettes」が「トイレ/お手洗い」という意味で使われています。 

これは家庭などでトイレが1つしかない場合でも、必ず複数形の「les toilettes」です。 

でもこの使い方は比較的新しく、少なくとも20世紀に入ってからだそうです。 

フランス人ネイティブに聞いてみても、まともな理由が返って来たことはありません。 

「トイレって、便器だけじゃないよね?水が入っているタンクや、配管パイプだってあるから複数なんじゃない?」というのが、「知らない/わからない」の次に多い答えです。 

理由を考えるよりも、そのまま覚えるだけにしておいた方が賢明であるような気がします…。 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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