覚えやすく忘れにくい!
今回のフレーズは、王子さまの「身長」についての話しなのですが、同じ単語が他の意外な意味を持っています。
語源やその背景を知れば、覚えやすく忘れにくくなるので、おススメです!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Je me trompe un peu aussi sur la taille.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の終わりにあります。
第4章最後の段落の中ほどにあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「je me trompe un peu aussi sur la taille」
「je」は「わたし」、ここでの「me」は目的語ではなく、再帰代名詞と言われるものです。
「trompe」は「tromper」の活用形(現在形)ですが、意味は後述します。
「un peu」は「少し」「ちょっと」、「aussi」は「~もまた」「~も」「やはり」という意味です。
ここでの「sur」は「~について」、「la」は定冠詞単数女性形、「taille」は女性名詞で「身長」「(モノの)大きさ」「(服などの)サイズ」などの意味です。
背景を見てみると
王子さまという友だちを忘れないために、語り手の男性は、あえて悲しいお話しをすることにしました。
王子さまの絵を描くために、男性は鉛筆や色鉛筆を買いそろえたものの、6歳の時にボアヘビを描いただけで、それ以降は絵を描くことを止めてしまったので、絵には自信がないようです。
今回のフレーズでは、自信がないことへの具体的な根拠の1つが明かされています。
代名動詞の「tromper」
まずは動詞の意味からご紹介します。
「tromper」は単独で使われると「(人を)間違わせる」「(人を)だます」などの意味になります。
ただしここでは再帰代名詞の「me」があり、代名動詞という形です。
再帰代名詞や代名動詞については、このシリーズの第140回に詳細があるので省略しますが、単独で使う場合とは意味が変わります。
代名動詞として別に覚えることもできますが、おススメなのは再帰代名詞の部分を「自分を」または「自分に」と捉えてしまうことです。
なので、「(自分を)間違わせる」つまり「間違う」、または「(自分を)だます」という意味になります。
今回のフレーズでは、「(王子さまの)身長を少し間違う」ということですね。
「taille」の意味
そして先ほど「taille」は女性名詞で「身長」「(モノの)大きさ」「(服などの)サイズ」などの意味だとご紹介しました。
今回のフレーズでは「(王子さまの)身長」という意味ですが、「taille」には「身長」「(モノの)大きさ」「(服などの)サイズ」以外にも、まだいくつもの意味があります。
日常生活でよく使うものとしては、「ウエスト」もその1つです。
また、「切断」「(石材の)切り出し」「(宝石の)カッティング」「(植木の)刈り込み」「剪定」「(布地の)裁断」などの意味があります。
「taille」の意味の広がり方
たくさんある意味の中でも、「身長」と「ウエスト」が同じ単語だというのは、やはり奇妙に感じますよね?
そしてさらに、「切断」や「カッティング」などの意味が、なぜ「身長」や「ウエスト」などと同じ単語になったのでしょうか?
これには、理由があるのです。
まだ長さを表す単位がなかった中世のフランスでは、身長やモノの大きさなどを測る時には、木の棒などを使っていました。
測る対象に木の棒を当てて、その長さに合わせて切り落とすことで測り、他の対象と比べていたのです。
この測り方が、「身長」と「(モノの)大きさ」に、「切断」や「カッティング」と同じ単語「taille」が使われるようになった由来です。
そして「(服などの)サイズ」や「ウエスト」も、「切断」に由来しています。
「(布地の)裁断」という意味がありますからね。
動詞「tailler」
ちなみに、関連語の動詞に「tailler」があります。
「(一定の形になるように材料を)切る」というのが基本的な意味で、「(生け垣などを)刈り込む」「(布を)裁断する」などの意味もあります。
ただ単に「切る」というなら「couper」を使うので、「(形を整えるために)切る」という意味の「tailler」とは区別されます。
「tailler」は「削る」とも訳されます。
メートル法などの長さの単位がある現在からは想像しにくかったのですが、由来を知れば、同じ単語がいろいろな意味に使われるのも、納得ですよね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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