246 エッセイとの違い! quand on n’a jamais fait d’autres tentatives

名詞

程遠い類義語?

「随筆」と説明される外来語に「エッセイ」がありますよね? 

フランス語の「essai」に由来しています。 

今回のフレーズにある「tentative」は、この「essai」の類義語なのですが、「随筆」には似ていないのです。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「quand on n’a jamais fait d’autres tentatives」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の終わりにあります。 

第4章最後の段落の9つ目にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

今回扱うのは、長いフレーズの中ほどの部分です。 

「quand on」

「quand」は疑問詞として使われる時は「いつ」という意味ですが、ここでは「?」がないので、接続詞としての使い方です。 

その場合は「~する時に」「~するたびに」という意味になります。 

「on」特殊な人称代名詞で、主語としての「人」を表すのが基本的な働きです。 

詳細はこのシリーズの第93回を参照してください。 

「n’a jamais fait」

「n’a」は、否定語「ne」の省略形「n’」と、「avoir」の活用形(現在形)「a」が合わさったものです。 

「決して~ない」という意味の「ne ~ jamais」で動詞を否定しています。 

「fait」は「~を作る」「~をする」という意味の動詞「faire」の過去分詞です。 

「a(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

「d’autres tentatives」

「d’autres」は「de」と、「別の」「他の」を意味する「autre」の複数形「autres」が合わさっています。 

「tentatives」は、「試み」「企て」などを意味する「tentative」の複数形です。 

背景を見てみると

子どもの頃から大人に対して批判的な語り手の男性が、語ること自体が悲しいお話しをあえてするのは、王子さまという友だちを忘れないため。 

鉛筆や色鉛筆を買いそろえた男性ですが、その大変さを長文で説明します。 

今回扱うのは、その長いフレーズの中ほどの部分です。 

フレーズの全体は: 

「C’est dur de se remettre au dessin, à mon âge, quand on n’a jamais fait d’autres tentatives que celle d’un boa fermé et celle d’un boa ouvert, à l’âge de six ans !」 

始めの部分は、このシリーズの第245回でご紹介しています。 

「tentative」

今回のフレーズにある「autres tentatives」とは「他の試み」ということですが、ここでの「tentative(試み)」とは、(いろいろな)絵を描くことです。 

語り手の男性は、6歳の時にボアヘビの絵を描いて以来、絵を描くことを止めてしまったので、そのことを言っているわけですね。 

こうした一般的な「試み」については、「tentative」という単語が使われます。 

「essai」

そして「tentative(試み)」の類義語が、日本語の「エッセイ」の元になった「essai」です。 

冒頭で触れた通り、「エッセイ」は「随筆」のことであるとされています。 

フランス語の「essai」にも「随筆」という意味がありますが、どちらかと言えば「試み」という意味で使われることの方が多いのです。 

「tentative」と「essai」の違い

では、「tentative」と「essai」の違いをまとめてみます。 

共通しているのは「試み」という意味ですが、取り換えられない意味も、けっこうあります。 

「tentative」には

  • 「企て」という意味がある 
  • 「未遂」という意味がある 

「essai」には

  • 性能などを試す「試験」「テスト」という意味がある 
  • 「随筆」という意味がある 
  • ラグビーの「トライ」の訳語である 

tentative ≠ エッセイ

「試み」という意味での「tentative」と「essai」は、場合や人によっては両方を使うこともあるのですが、主な違いは上記のとおりです。 

それでも「tentative」の「企て」「未遂」という意味は「essai」で表すことができず、同様に「essai」の「性能試験」「随筆」「(ラグビーの)トライ」も「tentative」にすることはできません。 

特徴的なのは、「tentative」の「未遂」と、やはり「essai」の「随筆」でしょうか。 

「tentative」が「随筆」という意味での「essai」には、まったく似ていませんよね! 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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