まだ影響している?
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】の第230回でご紹介した、フランスの古い貨幣単位の「franc(s)(フラン)」について。
2002年からはユーロになったので現在は使われていませんが、実は今でも、かすかに影響を感じる部分があります。
南フランスにて
これからご紹介する内容は、すべて私が住んでいる南フランスで見聞きしたことなので、その点はご了承ください。
もしかすると、フランス全体からすれば、特異なことなのかもしれません。
不動産購入について
個人的な話しで恐縮ですが、私たち夫婦が家を購入したのは2001年、実際に住み始めたのは2002年のことでした。
私たちの家の購入は、決してスムーズではありませんでした。
友人や知人に詳細を話すと、みんな決まって驚くほどです。
つまり、人より多くの物件に当たることになり、多くの人と家の価格の話しをすることになりました。
しかも、通貨がフランからユーロに切り替わる最中のことでした。
ケタが違う?
翌年の2002年からはユーロになることが決まっているのですから、個人的にはすべてユーロで話しを進めたいというのが本音でした。
でも2001年当時、不動産価格をユーロで話す人は、私の周りでは皆無でした。
それどころか、話している最中にしばしば、なんだかケタが増えていると感じることがあったのです。
不動産価格なので、もちろん普段の買い物とはケタが違います。
それでも、絶対にありえない金額を耳にすることに。
ケタ違いの正体
あまりに高すぎるので、始めは冗談かと思いながら聞いていたのですが、本人はもとより、一緒にいるフランス人の主人までが、真剣にうなずきながら相づちを打っています。
すると混乱している私の様子に気づいた主人が笑いながら、「旧フランだから」と言いました。
繰り返しますが、翌年からすべてユーロになるというのに、何十年も前に行われたデノミネーション前の旧フランで話す人が何人もいたのです。
移行しないユーロ
後で冷静になって考えてみれば、千万単位であるはずのものが十億単位になっていたようなものなので、すぐに2ケタ違うことがわかったはずです。
でも母国語でないフランス語で、ユーロで考えたいのにフランで話さざるを得ない状況で、ましてデノミネーションがあったことすら知らなかった私には、無理でした。
さすがに3人目ぐらいからは「またか!」と思いながら聞いていましたが、あまり話が頭に入って来ませんでしたね。
現在でも影響が?
ユーロに移行して20年以上経った現在では、さすがにフランで話す人はいなくなりました。
旧フランで話していたうちの1人が、今でも近所に住んでいますが、いつの頃からか彼の頭の中のユーロ移行も、どうやら済んだようです。
ただし冒頭で触れたフランのかすかな影響は、彼だけでなくほとんどすべてのフランス人に残っているような気がするのです。
正式名称との違い
それは、ユーロの補助単位の名前です。
正式名称では、1ユーロは100セント(1 euro = 100 cents)で、実際のコインにもそう書いてあるのですが、フランス人で「cent」と発音する人は稀だと思います。
みんな「1 franc = 100 centimes」だった頃の「centime」にしてしまいます。
そしてそれは、大人になってからもフランを使っていた中年以上の人たちだけの話しではなく、フランがなくなってから生まれた若い人たちも含めてなのです。

正式名称を知らない人も?
感覚的には、フランス人の頭が固いからというよりは、アメリカドルの補助単位と同じ名前の「cent」が受け入れにくく、フランスらしい名前の「centime」が好きなような気がします。
そしておそらく、本来は「cent」という名前であることすら知らず、「centime」だと信じて疑わない人すらいると思うのです。
フランスだけでもこの有り様なので、多様な民族・多様な言語の人々がある日突然、同じ通貨を使い始めて20年以上、大きな混乱がないことだけを取っても、すごいことだなと思っています。
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