覚えるべきは?
今回のフレーズにある言葉には、発音・スペル・意味ともによく似た類義語が存在します。
使い方によってはニュアンスの差があるものの、片方は普段の生活であまり使われません。
2つの違いとともに、まず覚えるべき言葉をご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Alors elles s’écrient :」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の中ほどにあります。
第4章の3枚目の挿絵のすぐ後の段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「alors elles s’écrient」
「alors」は「その時」「それなら」「それだから」などという意味です。
「elles」は「彼女たち」「それら」、「s’écrient」は「叫ぶ」「声を大にして言う」という意味の「s’écrier」の活用形(現在形)です。
背景を見てみると
語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。
大人たちは物事の本質を見ようとしないので、例えば新しい友だちについて話すなら、その人の年齢や体重、果ては父親の収入など、数字にしか興味がありません。
これは人に関することだけでなく、モノについても同じことです。
例えばある家について話すなら、その家の値段を言うのが手っ取り早いのです。
今回のフレーズでは、家の値段を聞いた大人たちの反応が示されます。
ここでの「elles」
さて背景からわかる通り、ここでの「elles(彼女たち/それら)」は、「les grandes personnes(大人たち)」のことです。
複数女性形になっているのは、「les grandes personnes(大人たち)」のうちの名詞部分「personnes」が複数の女性名詞だからです。
「s’écrier」
ところで前述通り、「s’écrier」は「叫ぶ」「声を大にして言う」という意味です。。
本来は「se」+「écrier」のところ、「écrier」が母音から始まっているのでこの形「s’écrier」になっています。
「se」は「再帰代名詞」と呼ばれる部分ですが、詳細については、このシリーズの第140回でご紹介していますので、参照してください。
ただしこの動詞は「se」のつかない「écrier」だけで使われることがあまりありません。
意味・形がよく似た「crier」という動詞があり、こちらの方がよく使われています。
「s’écrier」と「crier」
「叫ぶ」「大声で言う」と言いたい場合、通常使われるのは「crier」の方です。
例えば「Il crie très fort. (彼はとても大きな声で叫ぶ)」などです。
では「s’écrier」と「crier」の違いはというと、「s’écrier」を使った場合には、「crier」に比べて喜びや驚き・恐怖など、強い感情を伴なって大声を出す場合です。
例えば「Il s’écrie de joie. (彼は喜びの叫びをあげる)」などです。
普段よく使うのは?
「s’écrier」と「crier」には、共通して「叫ぶ」「声を大にして言う」という意味があり、その違いは強い感情のあるなしです。
でも「s’écrier」を聞くことは、あまりないかもしれません。
どちらかというと「s’écrier」の方は、文学作品で見かけるイメージの動詞です。
普段の生活では、先ほどご紹介した「Il s’écrie de joie. (彼は喜びの叫びをあげる)」の代わりに、「Il crie de joie. (彼は喜びの叫びをあげる)」と言うことがよくあり、あまり区別して使われていないからです。
どちらか1つを覚えるなら、「crier」を覚えることをおススメします。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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