過去分詞の連続?
今回のフレーズには、動詞の過去分詞が連続で登場しています。
一見すると不思議な構造ですが、理由がわかればカンタンです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Cet astéroïde n’a été aperçu qu’une fois au télescope, en 1909, par un astronome turc.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の始めにあります。
第4章の1枚目の挿絵の直前にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「cet astéroïde」
「cet」は「ce(これ/それ/あれ)」と同じで、男性形単数です。
次に来る単語が、母音字または無音のHと呼ばれるHの前で使われます。
「ce」や「cet」などは、次に名詞が来ると「この(その・あの)」という意味になります。
「astéroïde」は男性名詞で「小惑星」という意味です。
ここでは「astéroïde」が母音から始まる単語なので「cet」が使われ、「cet astéroïde」で「この/その/あの小惑星」という意味になります。
「n’a été aperçu qu’une fois」
「n’a」は否定を表す「ne」の省略形「n’」と「avoir」の活用形(現在形)「a」が合わさったものです。
「été」は「être」の過去分詞、「aperçu」は(人やモノを)「見つける」「見かける」という意味の「apercevoir」の過去分詞です。
「qu’une」は「que」の省略形「qu’」と「une」が合わさったものです。
「fois」は女性名詞で、回数を表します。
「une fois」で「1回」「1度」です。
ここでの「que」は、「しか~ない」という意味の「ne ~ que」の一部です。
「au télescope en 1909」
「au」は前置詞の「à」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったものです。
「télescope」は男性名詞で「望遠鏡」「天体望遠鏡」という意味です。
「au télescope」で「天体望遠鏡で」ということですね。
「en」は前置詞、ここでの「1909」は西暦の年号で、「en 1909」で「1909年に」になります。
「1909」の読み方は「mille neuf cent neuf」です。
「par un astronome turc」
「par」は前置詞で、「~を通って」という通過する場所、「~の時に」という時間や時期、「~がもとで」という原因なども表しますが、ここでは「~によって」という動作主を表しています。
同じ「~によって」という意味で、手段や道具などを表すこともあります。
「un」は不定冠詞単数男性形、「astronome」は男性名詞で「天文学者」という意味、
「turc」は「トルコの」「トルコ人の」「トルコ語の」という意味です。
なので「par un astronome turc」で、「あるトルコ人天文学者によって」という意味になります。
ちなみに国名の「トルコ」は「Turquie」です。
背景を見てみると
語り手の男性は、王子さまがごく小さい惑星から来たことを知っただけでなく、王子さまの星につけられた、小惑星の具体的な番号まで特定できたようです。
そして今回のフレーズでは、男性が特定を信じて疑わない、B612という小惑星の発見の様子について語られています。
過去分詞2つの理由
さて「n’a été aperçu qu’une fois」から動詞だけを抜き出すと「a été aperçu」になります。
「a été」の部分が「avoir +(動詞の過去分詞)」になっているので、過去表現であることはわかりますが、「aperçu」がジャマで分かりにくいですよね?
でも「été aperçu」の部分だけを見ると「être +(動詞の過去分詞)」という形が見えてきます。
「apercevoir」は、このシリーズの第198回でご紹介した、「17の変わり者動詞」のメンバーではないので、「être +(動詞の過去分詞)」という形で過去表現になるわけではありません。
ここでは、受け身になっているのです。
動詞の意味
つまり「a été」の部分で過去を表し、「été aperçu」の部分で受動態にしています。
「aperçu」は(人やモノを)「見つける」「見かける」という意味の「apercevoir」の過去分詞です。
受動態の過去ということは、「(人やモノを)見つけられた/見かけられた」という意味になります。
動詞3つに否定表現まで!
そして「n’a été aperçu qu’une fois」という部分は、受動態の過去に加えて否定表現でもあります。
「しか~ない」という意味の「ne ~ que」もあるので、主語の「cet astéroïde(その小惑星)」と一緒に意味を考えます。
すると、「cet astéroïde(その小惑星)」は、「une fois(1度)」しか「a été aperçu」、「見かけられなかった」ということになります。
動詞が3つも繋がっているうえに否定表現までありますが、冷静になれば難しくはないですよね!
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