211 過去分詞が2つ繋がるのはなぜ? Cet astéroïde n’a été aperçu qu’une fois au télescope, en 1909, par un astronome turc.

動詞

過去分詞の連続?

今回のフレーズには、動詞の過去分詞が連続で登場しています。 

一見すると不思議な構造ですが、理由がわかればカンタンです。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Cet astéroïde n’a été aperçu qu’une fois au télescope, en 1909, par un astronome turc.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の始めにあります。 

第4章の1枚目の挿絵の直前にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

「cet astéroïde」

「cet」は「ce(これ/それ/あれ)」と同じで、男性形単数です。 

次に来る単語が、母音字または無音のHと呼ばれるHの前で使われます。 

「ce」や「cet」などは、次に名詞が来ると「この(その・あの)」という意味になります。 

「astéroïde」は男性名詞で「小惑星」という意味です。 

ここでは「astéroïde」が母音から始まる単語なので「cet」が使われ、「cet astéroïde」で「この/その/あの小惑星」という意味になります。 

「n’a été aperçu qu’une fois」

「n’a」は否定を表す「ne」の省略形「n’」と「avoir」の活用形(現在形)「a」が合わさったものです。 

「été」は「être」の過去分詞、「aperçu」は(人やモノを)「見つける」「見かける」という意味の「apercevoir」の過去分詞です。 

「qu’une」は「que」の省略形「qu’」と「une」が合わさったものです。 

「fois」は女性名詞で、回数を表します。 

「une fois」で「1回」「1度」です。 

ここでの「que」は、「しか~ない」という意味の「ne ~ que」の一部です。 

「au télescope en 1909」

「au」は前置詞の「à」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったものです。 

「télescope」は男性名詞で「望遠鏡」「天体望遠鏡」という意味です。 

「au télescope」で「天体望遠鏡で」ということですね。 

「en」は前置詞、ここでの「1909」は西暦の年号で、「en 1909」で「1909年に」になります。 

「1909」の読み方は「mille neuf cent neuf」です。 

「par un astronome turc」 

「par」は前置詞で、「~を通って」という通過する場所、「~の時に」という時間や時期、「~がもとで」という原因なども表しますが、ここでは「~によって」という動作主を表しています。 

同じ「~によって」という意味で、手段や道具などを表すこともあります。 

「un」は不定冠詞単数男性形、「astronome」は男性名詞で「天文学者」という意味、 

「turc」は「トルコの」「トルコ人の」「トルコ語の」という意味です。 

なので「par un astronome turc」で、「あるトルコ人天文学者によって」という意味になります。  

ちなみに国名の「トルコ」は「Turquie」です。 

背景を見てみると

語り手の男性は、王子さまがごく小さい惑星から来たことを知っただけでなく、王子さまの星につけられた、小惑星の具体的な番号まで特定できたようです。 

そして今回のフレーズでは、男性が特定を信じて疑わない、B612という小惑星の発見の様子について語られています。 

過去分詞2つの理由 

さて「n’a été aperçu qu’une fois」から動詞だけを抜き出すと「a été aperçu」になります。 

「a été」の部分が「avoir +(動詞の過去分詞)」になっているので、過去表現であることはわかりますが、「aperçu」がジャマで分かりにくいですよね? 

でも「été aperçu」の部分だけを見ると「être +(動詞の過去分詞)」という形が見えてきます。 

「apercevoir」は、このシリーズの第198回でご紹介した、「17の変わり者動詞」のメンバーではないので、「être +(動詞の過去分詞)」という形で過去表現になるわけではありません。 

ここでは、受け身になっているのです。 

動詞の意味 

つまり「a été」の部分で過去を表し、「été aperçu」の部分で受動態にしています。 

「aperçu」は(人やモノを)「見つける」「見かける」という意味の「apercevoir」の過去分詞です。 

受動態の過去ということは、「(人やモノを)見つけられた/見かけられた」という意味になります。 

動詞3つに否定表現まで! 

そして「n’a été aperçu qu’une fois」という部分は、受動態の過去に加えて否定表現でもあります。 

「しか~ない」という意味の「ne ~ que」もあるので、主語の「cet astéroïde(その小惑星)」と一緒に意味を考えます。 

すると、「cet astéroïde(その小惑星)」は、「une fois(1度)」しか「a été aperçu」、「見かけられなかった」ということになります。 

動詞が3つも繋がっているうえに否定表現までありますが、冷静になれば難しくはないですよね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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