肩の力を抜いて!
今回の3つのフレーズには共通している単語がいくつもありますが、同じようなことを言っているわけではありません。
フランス語を外国語として、身構えて接していると、単語が繰り返されているだけで不安になってしまうこともありますが、理由は意外と単純だったりします。
肩の力を抜いて、ラクに考えてみましょう!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「J’ai besoin d’un mouton.」と「Dessine-moi un mouton.」と「Alors j’ai dessiné.」の場所と背景を確認しておきます。
この3つのフレーズはひと続きで、第2章の中ほどにあります。
1枚目の挿絵の直前にある会話部分にあり、1つめと2つ目は王子さまのセリフ、3つ目は語り手の男性の説明です。
「j’ai besoin d’un mouton」
「j’ai」は、「わたし」を意味する「je」と「avoir」の活用形「ai」が合わさったものです。
「besoin」は男性名詞で「欲求」「必要」などの意味ですが、ここでは「avoir + besoin + de ~」という形で「~を必要とする」という意味です。
この場合の「~」の部分には、人・モノの両方が入ります。
「un」は不定冠詞単数男性形、「mouton」は男性名詞で「羊」です。
「dessine-moi un mouton」
「dessine-moi」は、動詞「dessiner」の命令形「dessine」と1人称代名詞強勢形の「moi」がハイフンでつながれたものです。
命令形に1人称や2人称の人称代名詞がつく場合には、ハイフンで強勢形をつなぎます。
「dessiner」は「デッサンする」「描く」「製図をする」などの意味です。
「un」は不定冠詞単数男性形、「mouton」は男性名詞で「羊」です。
「alors j’ai dessiné」
「alors」は「その時」「それなら」「それだから」などという意味です。
「j’ai」は、「わたし」を意味する「je」と「avoir」の活用形「ai」が合わさったものです。
「dessiné」は「デッサンする」「描く」「製図をする」などの意味の動詞「dessiner」の過去分詞です。
「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。
背景を見てみると
語り手の男性は生きるか死ぬかの瀬戸際にいるはずなのに、王子さまは理由も言わずに繰り返し羊の絵をねだります。
羊の絵など描いたことのなかった男性は、6歳の頃に描いたヘビの絵と同じものを見せますが、もちろん王子さまは満足しません。
王子さまは初めて羊の絵をねだる理由を言い、男性はようやく絵を描いたようです。
繰り返しが多い!
今回の3つのフレーズは、先ほども触れたようにひと続きになっています。
最初の2つが王子さまのセリフで、最後は語り手の男性の「絵を描いた」という行為の説明部分です。
わずか3つの短いフレーズの中に、同じ単語が繰り返されていますね?
「j’ai」「un mouton」「dessiner」が2回ずつ使われています。
理由は?
でも、似たようなことを言っているのかというと、そうでもないですよね?
どんな言語でも、何か1つの話題で話し込んでいれば、やはり同じ単語が繰り返されることが多くなります。
今回のフレーズなら、「un mouton」「dessiner」はそのせいです。
また理由は、動詞の使い方にもあります。
「dessiner」は命令形・過去分詞と形を変えていますが、「avoir」は同じ形のまま、まったく違う使い方で登場しています。
ここでの「avoir」
「avoir besoin + de + ~」で「~を必要とする」
「avoir +(動詞の過去分詞)」で過去を表す
「avoir」その他の使い方
「avoir」は、本当にいろいろな使い方をする動詞です。
その他の使い方の例もご紹介します。
「avoir faim」で「おなかがすいている」「ひもじい」
「avoir froid」で「寒い」「寒さを感じる」
「avoir chaud」で「暑い」「暑さを感じる」
「avoir mal」で「痛い」
まだまだたくさんありますが、少しずつお見せしますね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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