181 マネをして自然な表現を目指そう! Quand le mystère est trop impressionnant, on n’ose pas désobéir.

動詞

二重否定のワケ 

今回のフレーズは二重否定になっています。 

二重否定ということは強い肯定文なのですが、少々特殊な表現が使われているので、ただ単に否定部分を肯定にすると、かなりニュアンスが変わってしまいます…。 

いろいろな要素を考えるきっかけになりますよ! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Quand le mystère est trop impressionnant, on n’ose pas désobéir.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第2章の中ほどにあります。 

第2章の会話部分を除いた5段落目の最初のフレーズです。 

「quand le mystère est trop impressionnant」 

「quand」は疑問詞として使われる時は「いつ」という意味ですが、ここでは「?」がないので、接続詞としての使い方です。 

その場合は「~する時に」「~するたびに」という意味になります。 

「le」は定冠詞単数男性形、「mystère」は男性名詞で「神秘」「不可思議」「謎」「秘密」などの意味です。 

「est」はêtreの活用形、「trop」は「あまりに」「非常に」の意味です。 

「trop + 形容詞(または副詞)」の形でよく使われます。 

「impressionnant」は形容詞で、「印象的な」「感動的な」などの意味です。 

「on n’ose pas désobéir」 

「on」特殊な人称代名詞で、主語としての「人」を表すのが基本的な働きです。 

「人」が誰なのかは、文脈によって変わりますが、ここでは「(一般的な)人」を表しています。 

詳細はこのシリーズの第93回を参照してください。 

「n’ose」は、「ne」と動詞「oser」の活用形「ose」が合わさったものです。 

「oser」は「oser +(動詞の原形)」という形で、「~する勇気がある」「あえて~する」という意味です。 

「n’ose」を構成している「ne」は、「ne ~ pas」という否定表現の1部になっています。 

そして、「oser +(動詞の原形)」の動詞の原形として、「désobéir」が使われており、「~に背く」「~に服従しない」という意味です。 

背景を見てみると 

語り手の男性と王子さまは、サハラ砂漠で出会いました。 

始めから挨拶もなく、羊の絵をねだられました。 

人里離れた砂漠のなかという状況にもかかわらず、王子さまには疲れたりおなかがすいたりしている様子はなく、小さな子供が1人でいるのに、怖がっている様子すらありません。 

男性はただただ驚き、王子さまに質問したりもするのですが、王子さまは羊の絵をねだるばかり…。 

男性は困惑しながらその心境を語るのですが、それが今回のフレーズの部分です。 

もう1つの否定表現 

さて、冒頭でも触れたとおり、今回のフレーズは二重否定になっています。 

「n’ose」のご紹介の際に、「ne ~ pas」の否定表現はお伝えしましたが、もう1つの否定表現は、わかりますか? 

答えは「désobéir」です。 

「~に背く」「~に服従しない」という意味でしたね? 

「on n’ose pas désobéir」で、「人はあえて背こうとはしない」ということになります。 

「désobéir」の肯定形 

そもそも「désobéir」は、「dés + obéir」という構造になっている言葉です。 

「dés」は否定を表し、「obéir」は「~に服従する」「~に従う」という意味です。 

なので、二重否定をただの肯定文にするなら、「ne ~ pas」を取って「désobéir」を「obéir」にすればよさそうです。 

単に肯定文にすると… 

そもそも今回のフレーズの全体は、「Quand le mystère est trop impressionnant, on n’ose pas désobéir.」です。 

「quand le mystère est trop impressionnant」で、「不可思議があまりに印象的である時」つまり「不可思議も度を越してしまうと」ということです。 

そして「on n’ose pas désobéir」は、「人はあえて背こうとはしない」ということでしたね? 

「on n’ose pas désobéir」の部分をただ単に肯定文にすると、「on ose obéir」 

なので、「人はあえて従う」になります。 

フレーズ全体だと、「不可思議も度を越してしまうと、人はあえて従う」…。 

かなりニュアンスが違ってしまいませんか? 

原因は? 

今回のフレーズが二重否定になっているのも、「oser(~する勇気がある/あえて~する)」という動詞を使っているからではないかと、個人的には思っています。 

二重否定を肯定文にするなら、「Quand le mystère est trop impressionnant, on obéit.」のように、「oser」の部分を取り去ってしまった方が、「不可思議も度を越してしまうと、人は従う」となり、元のフレーズにかなり近づくからです。 

自然な表現を目指そう! 

日常的にもよく使われる「oser」という言葉は、もちろん肯定文でも使われますが、否定表現で登場することがしょっちゅうあります。 

例えば、「彼はしょんぼりしていたから、声をかけられなかった」と言いたい場合、「oser」の否定表現「n’oser pas」を使ったりするのです。 

「声をかけられなかった」をそのまま「声をかけることができなかった」というよりも、「n’oser pas」を使うと、「声をかける勇気がなかった」もしくは「あえて声はかけなかった」という表現になり、かなり自然になりますね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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