ウソをつかれていたら
突然ですが、あなたは、大好きな相手のウソを許せますか?
もちろん、ウソの種類にもよるでしょうが、そのウソは、決して小さいものではなかった場合です。
そしてそのウソに気づいた時、あなたは怒って相手をなじりますか?
それとも…。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je suis tellement triste…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第21章の始めにあります。
1枚目の挿絵から6行目にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「je suis」
「je」は、「わたし」「僕」「オレ」などに相当する、1人称代名詞単数です。
「suis」は、être動詞の1人称単数の活用形です。
「tellement」
「tellement」は「それほどまでに」という意味ですが、強調として「実に」「本当に」という意味でも使われます。
「triste」
「triste」は形容詞で、「悲しんでいる」「さびしい」「悲しそうな」といった意味です。
「e」で終わる形容詞なので、男性形・女性形とも発音は同じです。
背景を見てみると
離れてからも大切に思い続けるバラの花に、ウソをつかれていたと知った王子さま。
それでも怒るどころか、バラへの気持ちは高ぶるばかりです。
誰かに会いたくて歩いていたら、向こうから声をかけてきたキツネに「一緒に遊ぼう」と誘い、今回のフレーズを言うのです。
ウソをつかれた王子さま
王子さまはウソをつかれていたのに、心配するのはバラの花のことばかり。
自分にウソがバレたとバラの花が知ったら、大きなセキをしてごまかすだろうし、自分はそんなバラの花の看病をするフリをしなければならないだろうし…などと、先のことまで考えています。
ここでの「tellement」
でも、そんな王子さまは、他人が考えればこっけいにも思われる、バラの花のウソをごまかそうとする空ゼキを想像して、微笑んでいるわけではありません。
「Je suis tellement triste…」、そう、悲しんでいるのです。
それも、「triste(悲しんでいる)」を「tellement」によって強調しています。
ここでの「tellement」は、「実に」「本当に」だとわかりますね。
王子さまは作者の理想像?
それにしてもこの王子さま、あまりにもバラの花に夢中で、相手に尽くしていて、しかも包容力があるという…。
理想的な男性像そのものですね。
バラの花のモデルは作者の妻と言われているので、王子さまが作者ということになりますが、作者は、自分がなりたいと思っている理想像を重ねていたのでしょうか?
ともあれ、このまままっすぐに成長したなら、10年後・20年後にステキな男性になっただろうな、と妄想してしまいます!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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