やっかいな「tout」
今回のフレーズで3度も繰り返される「toute」という言葉。
「tout」という単語の女性形単数です。
「tout」に関しては、第62回でまとめましたが、1度で覚えて使いこなせる人は少ないはずです。
今回は女性形単数の「toute」に絞って、再度ご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Elle est toute sèche, et toute pointue et toute salée.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第19章の終わりにあります。
最後の段落にあるフレーズで、王子さまが考えたことです。
「elle est」
「elle」は3人称代名詞単数女性で、人なら「彼女」ですが、モノを指すこともあります。
モノを指すなら、女性名詞のモノになります。
「est」は、être動詞の活用形です。
「toute」
「toute」は「tout」の女性形単数です。
「tout」には形容詞・副詞・代名詞・名詞の4種類がありますが、女性形単数の「toute」になるのは、形容詞と副詞のみです。
この「toute」については、後で深掘りします。
「sèche」
「sèche」は形容詞「sec」の女性形です。
「乾いた」「乾燥した」などの意味です。
「et」
「et」は「そして」という意味です。
「pointue」
「pointue」は形容詞「pointu」の女性形です。
「先のとがった」「とげとげしい」などの意味です。
「salée」
「salée」は形容詞「salé」の女性形です。
「塩気のある」「しょっぱい」などの意味です。
背景を見てみると
ヘビに続いて、花びらが3枚しかない花とは少し話したものの、王子さまは誰にも会えないまま、山に登ります。
王子さまの星の山は、自分ですす払いができてしまうほど小さかったので、大きな山には感心した様子ですが、「寂しい」と叫んでも、返って来るのはエコーだけです。
そこで思ったのは、「Quelle drôle de planète !(なんだこの変な惑星は!)」ということ。
それに続くのが、今回のフレーズです。
ここでの「elle」
直前にある「Quelle drôle de planète !(なんだこの変な惑星は!)」を見れば、今回のフレーズの「elle」が何を指しているのかがわかりますか?
ここには人が登場していないので、「女性名詞の何か」になります。
そう、「planète(惑星)」を指していて、ここで言っている惑星とは、地球のことです。
「toute」は形容詞のみ?
先ほど、女性形単数の「toute」になるのは、形容詞と副詞のみとご紹介しましたが、副詞になるのは原形の「tout」なので、「touteになるのは形容詞だけなのでは?」と思った方もいらっしゃると思います。
これは半分正解ですが、残念ながら例外が存在します。
今回のフレーズの「toute」
ここで今回のフレーズ「Elle est toute sèche, et toute pointue et toute salée.」を見直してみると、3回登場する「toute」の後に来ているのは、すべて形容詞であることが分かります。
つまり、3つの「toute」はすべて、副詞だということです。
副詞だが「toute」になる例外に、3つとも当てはまってしまったということです。
副詞の「tout」
ここで、副詞の「tout」のうち、必要な部分を振り返ります。
- 意味は「とても」「非常に」
- 基本的に「tout」のみ
- ただし子音子・無音のhで始まる女性形容詞の前では「toute(s)」になる
副詞の用例(とても愛想がいい)
- Il est tout aimable.:単数
- Ils sont tout aimables.:複数
- Elle est tout aimable.:単数・母音字で始まる女性形
- Elles sont tout aimables.:複数・母音字で始まる女性形
副詞の用例(とても小さい)
- Il est tout petit.:単数
- Ils sont tout petits.:複数
- Elle est toute petite.:単数・子音字で始まる女性形
- Elles sont toutes petites.:複数・子音字で始まる女性形
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