丸ごと覚えて頭を整理しよう!
日本語には冠詞というものが存在しないので、やはり慣れるまでは戸惑うことが多いもの。
「使って慣れろ」とは言うものの、やはりある程度は使い方をわかっていた方が安心です。
今回の2つのフレーズには、それぞれ単数と複数の定冠詞が使われており、頭の整理にうってつけなので、丸ごと覚えるのがお得です。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ici c’est le désert.」と「Il n’y a personne dans les déserts.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第17章の始めの方にあります。
1枚目の挿絵から2行目にあるフレーズで、ヘビのセリフです。
「ici」
「ici」は「ここ」、基本的には近い場所を表します。
フランス語では、日本語に比べて距離はあまり気にされない場合がありますが、今回のフレーズでは「今いるこの場所」という意味です。
「c’est」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「le désert」
「le」は、定冠詞男性・単数です。
「désert」は男性名詞で、「砂漠」「荒地」という意味です。
「il n’y a」
「il n’y a ~」は、 「il y a ~」の否定形です。
「il y a ~」で「ある」「いる」などの意味なので、「il n’y a ~」で「ない」「いない」になります。
「il」
「il」は3人称代名詞単数で、「彼」を表すのですが、モノやコトを受けて「それ」の意味になることもあります。
場合によっては特に意味を持たないこともあり、今回の使い方もそれに当たります。
「n’y」
否定の「ne」と、代名詞の「y」が合わさった形です。
本来の「y」は「そこ」などの意味ですが、ここでの「y」は意味を持たず、「il y a ~」という、決まった形の一部であるだけです。
「a」
「a」は、動詞「avoir」の直説法現在3人称単数の活用形です。
「il y a ~」の形で使うなら、後ろに複数形が来ても「a」のままです。
ただし時制は変化するので、過去形や未来形への変化はあり得ます。
「personne」
女性名詞で「人」です。
「Il n’y a personne」で「誰もいない」になります。
「dans」
「dans」は、「~の中に」「~の中で」などの意味です。
基本的に「dans + 冠詞 + 名詞」の形で使われます。
「les déserts」
「les」は、定冠詞複数です。
「déserts」は男性名詞「désert」の複数形で、「砂漠」「荒地」という意味です。
背景を見てみると
評判がいいという地球に来たのに、誰もいないので、王子さまはヘビと話すことに。
「地球上に人はいないの?」と聞いて、ヘビから返ってきた答えが、今回の2つのフレーズです。
定冠詞の使い分け
ところで、今回の2つのフレーズ「Ici c’est le désert.」と「Il n’y a personne dans les déserts.」には、「le désert」と「les déserts」、定冠詞の単数と複数が同じ単語についています。
もちろん、後ろに来る名詞が単数・複数なので、定冠詞が変えられているのですが、この2つのフレーズは、似ているようで、意味の異なることを言っています。
1つめのフレーズ
まず、1つ目の「Ici c’est le désert.」では、ヘビは「この場所」に限った話しをしています。
そのため「定冠詞単数 + 名詞」という形になっています。
特定のあるもの(場所)なので、定冠詞なのです。
2つめのフレーズ
そして、2つ目の「Il n’y a personne dans les déserts.」では、「この場所だけではないたくさんの場所」について話しています。
そのため「定冠詞複数 + 名詞」という形になっています。
「たくさんあって特定できないのでは?」と思うかもしれませんが、「地球上の砂漠」に限定されて、特定のあるもの(場所)なので、定冠詞なのです。
インパクトで覚えよう!
「人がいないということを、ヘビが話している」という時点で、この2つのフレーズにはかなりのインパクトがあります。
『星の王子さま』でフランス語を身につけるというのは、こうしたアドバンテージもあるのです。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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