フレーズ切り取りによる気づき
実は今回のフレーズには、少し違和感があります。
もちろん、お話しを通して読んでいれば、状況がわかっているので感じないうえ、作者の意図する感情に引き込まれます。
1つだけ切り取るからこそ、作者の手法が見える例ですね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Et des villes et des fleuves et des déserts ?」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第15章の中ほどにあります。
地理学者を相手にした王子さまのセリフです。
「et」
「et」は「そして」という意味です。
「des」
前回(第78回)同様、この「des」は不定冠詞複数形です。
「des」には同音異義語があるので、詳細はこちらを参照してくださいね!
「villes」
「villes」は、「都市」や「町」を意味する女性名詞「ville」の複数形です。
「fleuves」
「fleuves」は、「河」を意味する男性名詞「fleuve」の複数形です。
「fleuve」は大きくて、最終的に海に注がれる「大河」を意味します。
「小さい川」は、女性名詞の「rivière」です。
「déserts」
「déserts」は、「砂漠」を意味する男性名詞「désert」の複数形です。
背景を見てみると
初めて出会った、仕事らしい仕事をしている人で、住んでいる大きな星はとても美しいので、王子さまは地理学者に会えてうれしかった様子でした。
ところがこの地理学者、地理が専門のハズなのに、自分の星の大きな海のことも、山のことも知らないというのです。
期待値が高かった分、王子さまは以前にも増してがっかりしてしまいます。
そして今回のフレーズになるのです。
どこにイライラが?
今回のタイトルを「イライラが伝わってくる!」としたのには、理由があります。
通常、3つ以上の単語を「et」を使ってつなげたい場合、今回のフレーズのように何度も「et」を使わないからです。
文法上、間違っているというほどではないのですが、違和感はあるフレーズです。
通常のつなげ方
3つの単語「A・B・C」を「et」を使ってつなげるなら、普通は「A, B et C」になります。
「et」は最後に1回だけ入れるのです。
4つ以上の単語でも、最後以外はすべて「,(カンマ)」でつなぎます。
イライラが爆発寸前?
自分の星のことなのに、海も山も知らない地理学者というのは、本当にこっけいです。
そこで王子さまはパニックになったかのように、「町や河や砂漠も知らないのか」を立て続けに聞いています。
強調として使われることもある「et」ですが、やはり何度も繰り返すのは普通ではなく、王子さまのイライラが伝わってきます。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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