フランス語のままで感じよう!
童話だと言われる『星の王子さま』ですが、外国人がフランス語のテキストとして使用すると、ひんぱんに出てくる倒置などのせいで、入門者向きではないとされています。
それでも、短くて覚えやすく、さらに分かりやすい今回のフレーズなら、フランス語でそのまま、倒置の効果を感じることができますよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Elle est bien belle, votre planète.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第15章の始めの方にあります。
地理学者を相手にした王子さまのセリフです。
「elle」
「elle」は3人称代名詞単数女性で、人なら「彼女」ですが、モノを指すこともあります。
モノを指すなら、女性名詞のモノになります。
「est」
「est」は、être動詞の活用形です。
「bien」
「bien」は、副詞です。
「よく」「正しく」「非常に」「本当に」などの意味があります。
「belle」
「belle」は、形容詞「beau」の女性形単数です。
「beau」は、人の容姿や景色などが「美しい」、人の才能やモノ・コトが「すばらしい」という意味です。
姓・数・発音によって形が変わります。
姓 | 数 | 発音 | |
beau | 男性形 | 単数 | |
bel | 男性形 | 単数 | 母音などの前 |
beaux | 男性形 | 複数 | |
belle | 女性形 | 単数 | |
belles | 女性形 | 複数 |
「votre」
「votre」は2人称の所有形容詞で、「あなたの」「あなた方の」「きみたちの」などに当たります。
形容詞ですが、後ろに来る名詞の性による変化はありません。
名詞の数による変化はあります。
「votre」:単数名詞の前
「vos」 :複数名詞の前
「votre」と「vos」の使用例
男性名詞は「livre(本)」で、女性名詞は「fleur(花)」で「votre」と「vos」の使用例をまとめます。
後ろに来る名詞の性には関係がなく、数によって変化することが分かると思います。
男性名詞 | 女性名詞 | |
単数 | votre livre | votre fleur |
複数 | vos livres | vos fleurs |
「planète」
「planète」は女性名詞で、「惑星」という意味です。
背景を見てみると
第15章の地理学者の星に来るまでの王子さまは、エゴイストばかりに出会ったり、ようやく友だちになれる人がいたと思ったら、妙に小さい星だったりして、がっかりの連続でした。
地理学者の仕事は、それまでの人たちとは違って職業と呼ぶにふさわしい内容で、住んでいる星は大きいので、王子さまはすっかり感動しています。
そして周りを眺めながら王子さまが言ったのが、今回のフレーズです。
ここでの「elle」
こうして考えると、今回のフレーズの「elle」は「彼女」、つまり「人」でしょうか?
王子さまと地理学者の他に人はなく、挿絵を見ると、地理学者はおじいさんですね。
第一、話し相手は地理学者ですし、他に共通の知り合いもいないので、他の人は存在せず、ここでの「elle」は、モノを指しています。
すると、「elle」になりそうな女性名詞は、「votre planète(あなたの惑星)」ということになります。
倒置の意味
そう考えてくると、今回のフレーズでは倒置が起きているのがわかります。
疑問文ではないのに倒置が起きているのは、強調したい部分があるから。
倒置をしないと「Votre planète est bien belle.」になりますが、これでは「bien belle」の部分が弱くなってしまいます。
日本語でも、「あなたは本当にきれいね」と言われるより、「本当にきれいね、あなたって」と言われた方が、印象に残りませんか?
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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