私の失敗をお話しします
実は私、今回のフレーズには苦い思い出があります。
かなり恥ずかしいのですが、これを知れば、今回のフレーズにある「puisque」という単語は忘れられなくなると思うので、お話しすることにしました。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「C’est véritablement utile puisque c’est joli.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第14章の始めにあります。
第14章で王子さまは、街灯をつける男に出会います。
今回のフレーズは、街灯をつけている挿絵から7つ目にあって、王子さまが心の中で思ったことです。
「c’est」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「véritablement」
「véritablement」は、「実際」「まったく」「実に」という意味の副詞です。
「utile」
「utile」は「役に立つ」という意味です。
「utile à ~」の形で「~の役に立つ」になります。
「puisque」
「puisque」は、「なのだから」「~である以上」を意味します。
「joli」
「joli」は形容詞で、「きれいな」「かわいい」「すてきな」などという意味です。
人・物の両方に使われます。
女性形は「jolie」ですが、発音は変わりません。
背景を見てみると
休む間もなく行われる、点灯と消灯の作業に詩的な意味まで見出した王子さま。
点灯は星や花の誕生に例えられ、消灯は星や花の眠りに例えるという、心酔っぷりです。
今回のフレーズでも言われている「c’est joli」とは、この街灯をつけたり消したりする、男の仕事のことです。
「puisque」と「parce que」の違い
今回のフレーズの中ほどにある「puisque」は、「なのだから」「~である以上」を意味するので、「puisque c’est joli」の部分は、理由を表しています。
理由を表すものと言えば、「だから」「なぜなら」の「parce que」が代表的なのですが、使い方が異なります。
「puisque」
「puisque」は、話し手・聞き手の両方が、すでに知っている情報をもとに理由を言う時に使います。
今回のフレーズでは、この前のフレーズですでに、男の職業が「joli」という形容詞で語られているので、このフレーズが始まる段階では「すでに知っている情報」です。
その上で理由づけをしているのが、今回のフレーズなので、「puisque」を使っているのです。
「parce que」
それに対し、「parce que」を使って理由を言う時は、聞き手にとって新しい情報である必要があります。
そのため、今回のフレーズの「puisque」に「parce que」置き換えるのは不自然です。
なお、「puisque」はひと続きの単語ですが、「parce que」は「parce」と「que」が離れています。
お恥ずかしい限りですが…
ところで、私は入門期に『星の王子さま』でフランス語を勉強しようとした時期がありました。
もともとファンだったので(ただし和訳の)、モチベーションになるだろうと思ったのです。
でも、ほどなくして挫折しました。
お話しの順番に読んでいると、初めから文法でつまずくことが多く、続けられなかったのです。
その後時々、分かりやすいところを、つまみ食いのように読んでいて、今回のフレーズになりました。
なんとその時、私は「puisque」の部分を「plus que(~より多く)」だと思って読んでいました…。
和訳本で確認しなかったので、何年もの間、そう思い込んでいました。
「plus que」だとしても、微妙に意味が成立してしまうんですよね。
私のような間違いをする方はいないと思いますが、これで「puisque」と「plus que」を覚えていただければ、幸いです。
なお、「plus que」も「parce que」同様、ひと続きではないので、それも一緒に覚えてくださいね!
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