全員集結!
今回のフレーズがある第14章は、第27章まである『星の王子さま』の、ちょうど真ん中あたりになります。
このフレーズには、それまでに王子さまが旅先で出会った人々が全員登場しています。
王子さまの価値観がわかるフレーズなのです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Cependant il est moins absurde que le roi, que le vaniteux, que le businessman et que le buveur.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第14章の始めにあります。
第14章で王子さまは、街灯をつける男に出会います。
今回のフレーズは、街灯をつけている挿絵から2つ目にあって、王子さまが心の中で思ったことです。
「cependant」
「cependant」の意味は、「しかしながら」「それにもかかわらず」です。
「il」
「il」は3人称代名詞単数で、「彼」を表すのですが、モノやコトを受けて「それ」の意味になることもあります。
また「il」は、特に意味を持たない場合があります。
「est」
être動詞の3人称単数の活用形です。
「moins ~ que ~」
「moins ~ que ~」は、「~より少なく~」で、比較の対象は「que」の後に来ます。
「moins + 形容詞 que ~」の形でよく使われます。
対義語は「plus」で、こちらも「plus + 形容詞 que ~」の形でよく使われます。
「absurde」
「absurde」は形容詞で、意味は「(言動や人などが)ばかげている」です。
「moins absurde que ~」で、「~より少なくばかげている」、つまり「~よりはマシ」という風にも取れるでしょうか?
「le」
「le」は、文法上、定冠詞の男性・単数です。
語り手の男性にとっては「ある特定できる存在」なので、定冠詞が使われています。
「roi」
「roi」は、「王」「国王」で、男性名詞です。
女性形は「reine」です。
複数形はそれぞれ「rois」「reines」で、発音は変わりません。
「vaniteux」
「vaniteux」は「虚栄心の強い人」「見栄っ張りな人」という意味の男性名詞です。
単数・複数が同じ形です。
女性だと語尾が変化して、単数は「vaniteuse」、複数は「vaniteuses」になり、発音も変わります。
「businessman」
「businessman」は、男性名詞で「ビジネスマン」。
英語由来の外来語として使われています。
そのため、複数形は「businessmen」になり、他の名詞のように語尾に「s」がつく形ではありません。
「et」
「et」は「~ et ~」の形で、「そして」を意味します。
今回のように接続するものが多い時は、「~, ~, ~, ~ et ~」のように、始めの部分は「,」にして、最後の部分だけに「et」を使います。
「buveur」
「buveur」は「飲む人」「酒飲み」という意味の男性名詞です。
女性だと「buveuse」で、発音が変わります。
複数形は、男性形が「buveurs」、女性形が「buveuses」で、単数からは発音の変化がありません。
背景を見てみると
第14章で王子さまは、一番小さな星にいて、ひとりで街灯をつけたり消したりを繰り返す男に出会います。
1日の時間が極端に短いこの星には、他に人がいるわけではなく、将来的に誰かが来ることもないのに、点灯と消灯だけを繰り返す男。
今回のフレーズの直前で、この男のことを「absurde(ばかげている)」と言っていて、今回のフレーズになります。
「il」とは?
「il」という単語は人称代名詞ですが、しばしば意味を持たなかったり、モノやコトを受けたりします。
でも今回のフレーズでは、直前ですでに「absurde(ばかげている)」と言っているので、「il」は、街灯をつけたり消したりしている男のことですね。
そして、その比較対象は、王様や見栄っ張りの男、ビジネスマン、酒飲みは、この一番小さな星に来る前に王子さまが出会った人々です。
「cependant」と言う理由
王様などに比べれば、街灯にかかりきりの男でさえ、「まだマシ」と言いたいのでしょうか。
そのため、文頭に「cependant(しかしながら)」が来ているのです。
ここでも、王子さまの価値観がしっかり出ていますね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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