56 なぜ見栄を張る必要が? Mais tu es seul sur ta planète !

その他(王子さま)

ここにもヘンな大人が! 

『星の王子さま』という作品は、「ヘンな大人の見本市」という側面を持っているのではないでしょうか? 

第1の星は偉ぶるだけの王様、第2の星は虚栄心のかたまりのような男が、それぞれひとりぼっちで暮らしているのですから。 

地球上の私たちは多くの人々に囲まれていますが、権威や虚栄心は、何の役にも立たないと言われているようです。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の「Mais tu es seul sur ta planète !」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第11章の終わりの方にあります。 

第11章では、王子さまと、訪問先の見栄っ張りの男との会話が続きます。 

今回のフレーズは、王子さまのセリフです。 

「mais」 

「mais」の基本的な意味は「しかし」「けれど」で、逆説を表します。 

「tu」 

「tu」は2人称代名詞単数です。 

2人称代名詞単数と言うと、「あなた」「きみ」「おまえ」などですが、フランス語には2種類あり、そのうちの1つです。 

2人称代名詞まとめ 

フランス語の2人称代名詞をまとめます。 

【tu】 

  • 親しい間柄で使われる 
  • 単数形のみ 
  • 複数になると、親しい間柄でも「vous」になる 

【vous】 

  • 単数・複数の両方で使われる(同じ形) 
  • 単数の場合、ていねいな印象を与える 
  • 複数の場合は「tu」の複数も含まれる(相手との関係性が不明瞭になる) 

「es」 

英語の be動詞に相当する、être動詞の2人称単数「tu」の活用形。 

意味は「~です」に当たります。 

「seul」 

「seul」は形容詞で、「唯一の」「ただ1人の」「ただ1つの」という意味です。 

女性形は「seule」になりますが、発音は変わりません。 

「sur」 

「sur」は前置詞で、基本的な意味は「~の上に」「~の上の方に」です。 

「ta」 

「ta」は所有形容詞で、「あなたの」「きみの」「おまえの」などですが、人称代名詞の「tu」同様、親しい間柄で使われます。 

所有形容詞2人称単数のまとめ 

形容詞なので、後ろに来る名詞の性や数で変化するため、まとめます。 

  • 「ton」:男性名詞単数の前・母音で始まる女性名詞単数の前 
  • 「ta」:母音以外で始まる女性名詞単数の前 
  • 「tes」:男性/女性名詞複数の前 

今回のフレーズの「ta」 

「ta」は、単数の女性名詞の前で使われますが、母音で始まる名詞の前では、女性名詞であっても「ton」が使われます。 

今回のフレーズは、次に来るのが女性名詞の「planète」で、母音で始まっていないことから、「ta」が使われています。 

「planète」 

「planète」は女性名詞で、「惑星」という意味です。 

背景を見てみると 

王子さまに拍手をせがみ、ほめ言葉以外は聞く耳を持たない、見栄っ張りな男。 

今回のフレーズの直前で彼は、「自分が、この星で1番ハンサムで、ベストドレッサーで、1番お金持ちで、1番頭がいい」と言います。 

その返事が今回のフレーズ、「Mais tu es seul sur ta planète !」です。 

驚く王子さま 

逆説の「mais」がついているのは、「世界で1番って言うけど」という意味が込められていますね。 

そう、彼は訪ねてくる人などいない、小さな星にひとりぼっちで住んでいるので、王子さまが驚いて当たり前です。 

なので今回のフレーズには、「!」がついています。 

王子さまの旅は続く 

自分の星も小さかったものの、王子さまの訪問先は「人口1名」の小さな星が続きます。 

訪問先に子どもがいることはなく、毎回、大人たちの妙な執着心ばかりを見ることに。 

そして訪問を終えるたび、「大人はヘンだ」とつぶやくのです。 

そんな旅は、まだまだ続きます。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

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