王子さまの特別な花
今回のフレーズには、このシリーズの第32回で触れた、王子さまの特別な花が登場します。
この花は作者の妻がモデルとも言われていて、今回のフレーズに、作者の想いが凝縮していると感じます。
ぜひフランス語で味わってみてください。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Ma fleur est là quelque part…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第7章の終わりの方にあります。
第7章では、王子さまと語り手の男性の会話が続き、最後はバラの花の絵で終わっています。
このフレーズは第7章の終わりから2段落目にあるフレーズで、王子さまののセリフです。
「ma」
「ma」は所有形容詞、1人称で単数の女性形です。
「私の」「僕の」「オレの」という意味です。
話し手の性別ではなく、後に来る名詞の性別によります。
「fleur」
「fleur」は「花」を意味する女性名詞です。
ここでは、「fleur」が単数の女性名詞なので、「ma」になっています。
「est」
英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称単数の活用形。
意味は「~です」に当たります。
ただし今回は、次の「là」が場所を表しているので、「~にいる」「~にある」という、存在を表しています。
「là」
「là」は「そこ」「あそこ」、基本的には離れた場所を表します。
「ここ」を意味する「ici」よりも離れた場所ということです。
「là」には「a」に右肩下がりのアクセントがついていて、定冠詞の「la」とは異なりますので、注意が必要です。
「quelque part」
「quelque part」は、「どこかで」の意味です。
通常、「quelque」は「いくらかの」、「part」は「部分」や「~の場」などを表すのですが、「quelque part」は決まり文句「どこかで」を表します。
王子さまの大切なバラの花
このシリーズの第32回で、『星の王子さま』のバラの花は、作者の妻がモデルと言われていることについて触れました。
第32回での「花」は「fleurs」と複数形で、その理由は「ただの一般的な花」だったからでした。
そして王子さまの特別な花の場合は、単数形で語られるともお伝えしました。
今回の「Ma fleur est là quelque part…」こそが、そのフレーズです。
完結しているフレーズ
「Ma fleur est là quelque part…」は「…」で終わっていますが、フレーズとしては完結しています。
直訳すれば「私の花はどこかにあります。」なので、本来は「…」で終わる必要がないはずです。
…などと言ってしまうと、本当に元も子もなくなり、雰囲気を壊してしまっていますね、すみません。
『星の王子さま』が愛される理由
今回のフレーズの直前には「何百万もの星があって、それを眺めているだけで幸せになれる」と言っています。
その理由が今回のフレーズです。
好きな相手だからこそ、遠く離れてはいても、どこにいるのかを知らなくても、「どこかにいる」と信じられるだけで心が温かくなる。
作者自身にも妻と離れ離れになってしまった経験があり、こうした気持ちを大事にしているのが伝わってきますね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント