組み合わせで変わる!
今回のフレーズは「前置詞+疑問詞」という形を使った疑問文です。
同じ疑問詞でも前置詞の違いで意味が変わったり、動詞との組み合わせでさらに別の意味になったりします。
例文とともにご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Sire… sur quoi régnez-vous ?」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第10章の中ほどにある王子さまのセリフです。
「sire… sur quoi régnez-vous」
「sire」は男性名詞で「(呼称としての)陛下」、「sur」は「~の上に」「~に関して」などの意味の前置詞、「quoi」は「何」という意味で、疑問代名詞の「que」の強勢形です。
「régnez-vous」は「vous régnez」が倒置されたものです。
ここでの「vous」は2人称代名詞単数の「あなた」、「régnez」は「régner」の活用形(現在形)です。
「régner」は(王が)「君臨する」「統治する」、(人が)「権勢をふるう」「支配する」などの意味です。
背景を見てみると
旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。
王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。
でも長旅で疲れていた王子さまは、王様の前であくびをして王様にたしなめられます。
すると王子さまは我慢できないと反論するのですが、このことをきっかけに、王子さまは王様が誰かに命令したり指示したりすること自体が嬉しいということを知ります。
このフレーズの意味
冒頭で触れた「前置詞+疑問詞」は、今回のフレーズの「sur quoi」の部分です。
「sur(~の上に/~に関して)」が「quoi(何)」一緒に使われているので、「sur quoi」で「何の上に」「何に関して」という意味になります。
さらに「régner(君臨する/統治する)」という動詞が組み合わされているので、今回のフレーズ「Sire… sur quoi régnez-vous ?」は、直訳すると「陛下、あなたは何の上に君臨しているのですか?」ですが、要するに「陛下、何を統治されているのですか?」ということです。
動詞の違い
当然ながら、同じ「sur quoi」を使っていても、動詞との組み合わせでかなり変わります。
- Sur quoi régnez-vous ?
(何を統治しているのですか?)
- Sur quoi écris-tu ?
(何について書いているの?)
2つ目のフレーズの場合、「sur quoi」を「何の上に」と捉えることもできますが、通常は「何に関して」という意味で使われます。
疑問詞の違い
同じ前置詞「à」、同じ動詞「penser(考える)」を使っていても、疑問詞の違いで意味は変わります。
- À quoi penses-tu ?
(何を考えているの?)
- À qui penses-tu ?
(誰のことを考えているの?)
前置詞の違い
動詞や疑問詞が変われば意味が変わるのは当然ですが、同じ疑問詞「qui(誰)」、同じ動詞「parler(話す)」を使っていても、前置詞の違いで意味が変わります。
- À qui parles-tu ?
(誰に話しているの?)
- De qui parles-tu ?
(誰のことを話しているの?)
- Avec qui parles-tu ?
(誰と話しているの?)
主語と述語の倒置について
今回は元のフレーズで主語と述語が倒置されていたので、すべて倒置文でご紹介しました。
ただし実際の会話では、こうした倒置をせずに使うことも多いです。
以下はすべて同じフレーズで、3つともよく使われています。
「誰と話しているの?」
- Avec qui parles-tu ?
- Avec qui tu parles ?
- Tu parles avec qui ?
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