37 さすがは王子さま! Ce n’est pas plus sérieux et plus important que les additions d’un gros Monsieur rouge ?

名詞

王子さまの品性を感じよう! 

今回のフレーズには、和訳してしまうと分かりにくい、王子さまの品性が出ている部分があります。 

人の言葉遣いには、その人の品性が出るもの。 

日本語の敬語ほどではなくても、フランス語にもその人の品性がうかがい知れるような表現があります。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の「Ce n’est pas plus sérieux et plus important que les additions d’un gros Monsieur rouge ?」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第7章の後半にあります。 

第7章では、王子さまと語り手の男性の会話が続き、最後はバラの花の絵で終わっています。 

このフレーズは前回(第36回)扱った「Ce n’est pas important la guerre des moutons et des fleurs ?」の直後にあるフレーズで、王子さまののセリフです。 

「ce n’est pas」 

「ce n’est pas」は「c’est」で始まるフレーズの否定文です。 

意味は「これ(それ・あれ)は~ではありません」です。 

「plus ~ que」 

「plus」 は、「plus +(形容詞)」の形で「より多く」という意味です。 

そして比較する対象は、「que」の後に来るもので示されます。 

後で深掘りしますね。 

「sérieux」 

「sérieux」は、第33回でご紹介済みなので、まとめます。 

  • 人に対して使えば「まじめな」、事柄について使えば「重大な」という意味。 
  • 女性形は「sérieuse」、語尾の「s」は、音が「z」になる。 

「et」 

「et」は「そして」という意味です。 

「important」 

「important」も、(第36回)でご紹介済みなので、まとめます。 

  • 「重要な」「大きな」という意味。 
  • 女性形は「importante」で、語尾の発音が変化。 
  • 英語の「important」も「重要な」だが、英語に「大きな」という意味はない。 
  • フランス語の「important」を「大きな」という意味で使うのは、規模や数量に対してのみ。 

「les」 

「les」は「ある特定のもの」を指すときに使われる、定冠詞の複数形です。 

「additions」 

「additions」は「加算(足し算)」や「勘定」を意味する女性名詞「addition」の複数形です。 

単数・複数で発音は変わりません。 

「勘定」の意味で使うのは、例えばレストランでお会計をお願いする時です。 

フランスのレストランでは、食後にテーブルに座ったまま支払いを済ませることが多いのですが、デザートやコーヒーが運ばれてきた時などに使うのが「addition」です。 

「L’addition, s’il vous plaît.」で、「お勘定をお願いします。」です。 

「d’un」 

「d’un」は、「de」と「un」が1つになった形。 

「gros」 

「gros」は、「大きな」「太った」「大量の」などの意味です。 

名詞としても使われて、その場合は「太った人」または「大きな部分」になります。 

「Monsieur」 

「Monsieur」は、男性への敬称として知られていますが、「男の人」という意味で使われることもよくあります。 

「rouge」 

「rouge」は、日本語では「ルージュ」として外来語になっており、少々意味が変わって「口紅」として使われていますが、元のフランス語は「赤い」という形容詞、「赤」という名詞です。 

言葉のかたまりを見てみると 

今回のフレーズは少々長いので、言葉のかたまりを見ていきます。 

かたまりに分けようとする時に便利なのが「que」という単語。 

これの前後で分けられるかどうかを見ます。 

今回は「plus」があるので、「plus ~ que」になりやすいと判断できます。 

「Ce n’est pas plus sérieux et plus important」 

「que」の前にあるのがこの部分です。 

「plus sérieux et plus important」が「よりまじめ、そして、より重要な」になります。 

それが「Ce n’est pas」によって否定されているので、「よりまじめでより重要ではない」と言っていることがわかりますよね? 

そしてフレーズの最後には「?」がついているので、倒置はしていなくても、このフレーズは疑問文です。 

「que les additions d’un gros Monsieur rouge」 

後半部分が「que les additions d’un gros Monsieur rouge」です。 

「que」によって、比較対象が示されている部分です。 

「les additions」が「足し算」、「un gros Monsieur rouge」が「太った赤い男性」なので、「les additions d’un gros Monsieur rouge」は「太った赤い男性の足し算」ということに。 

「太った赤い男」は「オヤジ」ではない? 

「un gros Monsieur rouge」というのは、このフレーズの少し前から語られている、ある星にいるビジネスマンのことです。 

第13章で詳細がわかるのですが、真っ赤な顔をして計算ばかりしています。 

ただし、この男性のことを「オヤジ」と訳してしまうのは、無理がありそうです。 

なぜなら、王子さまは「Monsieur」という単語を使っているから。 

先ほど単語をご紹介した際にも触れましたが、敬称として知られているこの単語。 

名詞として使われても、ていねい語ではあるのです。 

王子さまはこの男性のことを好きではなさそうですが、さすがは王子さま、自分の品位のためにも、人をけなすような表現はしていないのです。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね! 

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