356 変化させるのを忘れないで! Cela n’a aucune importance.

その他(王子さま)

変化の理由

今回のフレーズを意訳するなら、「そんなことはどうでもいい」になるのですが、フランス語はやっかいなので、こういったフレーズでさえ、名詞の性による変化があります。 

どういう仕組みで、何が変化するのかをご紹介します。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Cela n’a aucune importance.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第9章後半の会話部分にある、バラの花のセリフです。 

「cela n’a aucune importance」

「cela」は「あれ」「それ」、「n’a」は「ne」の省略形「n’」と「avoir」の活用形(現在形)「a」が合わさったものです。 

なお、否定の「ne(の省略形 n’)」は「まったく~ない」「何も~ない」という意味の「ne ~ aucun」の一部です。 

「importance」は「重要性」「重大さ」などの意味の女性名詞です。 

背景を見てみると

旅立ちの朝、王子さまはバラの花に別れを告げました。 

わがままで見栄っ張りなバラの花は、始めのうちは何も言わずにせき込んで見せるだけでした。 

けれど急に、自分が愚かだったこと、王子さまが好きだということ、それでも自分の取った態度のせいで、王子さまはそれを知らなかったことを打ち明けます。 

今回のフレーズは、気丈に振る舞うバラの花が、大切なことを打ち明けながらも、それを打ち消している場面です。 

変化する部分は?

冒頭で触れた通り、今回のフレーズは「そんなことはどうでもいい」という意味なのですが、1つずつ単語を見ていきます。 

「cela」で「それ」、「ne ~ aucun」で「まったく~ない」、「importance」は「重要性」なので、直訳するなら「それにはまったく重要性がない」ということです。 

変化しているのは「aucune」で、これは形容詞「aucun」の女性形で、発音が変わります。 

「importance(重要性/重大さ)」が女性名詞なので、それに合わせて変化しているのです。 

例文

形容詞「aucun」は、今回のフレーズのように「ne ~ aucun」で「まったく~ない」で使うことが多いので、「彼には友だちが1人もいない」という例文で変化を見てみます。 

「ami(友だち)」の女性形は「amie」なので、これを両方使います。 

  1. Il n’a aucun ami. 
    (彼には友だちが1人もいない) 
  2. Il n’a aucune amie. 
    (彼には女友だちが1人もいない) 

1の「Il n’a aucun ami.」の方は「ami」が男性形なので、「(男女関係なく)友だちがまったくいない」という意味になります。 

それに対し、2の「Il n’a aucune amie.」の方は「amie」が女性形なので、「(彼女どころか)女友だちの1人もいない」「まったく女っ気がない」という意味です。 

男性形か女性形かで、かなり意味が変わりますね! 

「ami(友だち)」の方は、男性形「ami」・女性形「amie」で発音は変わらないものの、「aucun」は女性形「aucune」で発音が変わるため、話し言葉でも簡単に区別がつくのです。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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