352 同音異義語の見分け方と例外 C’est pourquoi ils nous causent des tas d’ennuis.

動詞

サクッと見分けよう!

今回のフレーズにある動詞「causer」には、同音異義語が存在します。 

どちらの意味で使われているのかを見分ける簡単な方法があるので、ご紹介します。 

ただし日常会話でよく使われる例外もあるので、この機会にぜひ知っておいてください。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「C’est pourquoi ils nous causent des tas d’ennuis.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第9章最初の段落にある、語り手の男性の説明部分です。 

「c’est pourquoi」

「c’est」は「ce」の省略形「c’」と「être」の活用形「est」が合わさってできています。 

「pourquoi」は「なぜ」「どうして」、「c’est pourquoi ~」で「そういうわけで~である」という意味になります。 

「ils nous causent des tas d’ennuis」

「ils」は「彼ら」「それら」、ここでの「nous」は目的語なので「私たちを」または「私たちに」という意味です。 

「causent」は「~の原因となる」「~を引き起こす」という意味の「causer」の活用形(現在形)です。 

「des tas de +(複数名詞)」という形で「たくさんの~」という意味になります。 

「d’ennuis」は前置詞の「de」の省略形「d’」と「心配ごと」「面倒なこと」「困ること」「いやなこと」「退屈さ」などの意味の男性名詞「ennui」の複数形「ennuis」が合わさったものです。 

ここでの「de」の省略形「d’」は、「たくさんの~」という意味の「des tas de +(複数名詞)」の一部になっています。 

背景を見てみると

王子さまの星には、火山が3つありました。 

そのうち2つは活火山で、王子さまは朝食を温める時などに便利に使っていました。 

残りの1つは死火山なので、本来噴火などの危険性はないのですが、王子さまは慎重に、死火山の手入れをしていました。 

火山の噴火は暖炉の火に似ていて、煙突掃除のように手入れをしていないと、火山は噴火を起こします。 

王子さまの星は本当に小さくて、そこにある火山も小さいため、王子さまは手入れをすることができました。 

ただし私たちは、地球上の火山の手入れをできるほど大きくはありません。 

今回のフレーズでは、それこそがトラブルの元なのだと言っている部分です。 

代名詞の意味

このフレーズの意味を考えるにあたっては、「ils(彼ら/それら)」、「nous(私たち)」、「ennui(心配ごと/面倒なこと/困ること/いやなこと/退屈さ)」について考える必要があります。 

このフレーズの直前では「nos volcans(私たちの火山)」という言い方で、地球上の火山について言及しており、「ils(彼ら/それら)」は「地球上の火山」を指しています。 

ということは、「nous(私たち)」は「地球上の私たち」ということです。 

「ennui」について

「ennui(心配ごと/面倒なこと/困ること/いやなこと/退屈さ)」は、外来語の「アンニュイ」の元になった単語です。 

日本語では「アンニュイな気分」のように使われることが多いので、「ennui」を見ると、イコール「退屈さ」だと思いがちですが、フランス語では「心配ごと/面倒なこと/困ること/いやなこと」という意味でもよく使われます。 

「c’est pourquoi ~」で「そういうわけで~である」、「ils nous causent des tas d’ennuis」で「それらが私たちに面倒なことを引き起こすのは」なのですが、それはつまり、「(私たちは地球上の火山の手入れをできるほど大きくはないので)そのせいで(火山の噴火などの)面倒なことが引き起こされている」ということです。 

こうしてみると、「ennui(心配ごと/面倒なこと/困ること/いやなこと/退屈さ)」という言葉は火山噴火にまつわる様々なネガティブなイメージをひと言で表現しています。 

この場合「退屈さ」という意味はありませんが、「心配ごと/面倒なこと/困ること/いやなこと」ではあるからです。 

「causer」の同音異義語

さて、冒頭で触れた動詞「causer」ですが、今回のフレーズでの意味は「~の原因となる」「~を引き起こす」の方です。 

それに対し同音異義語の「causer」には、「おしゃべりをする」という意味があります。 

発音も活用の仕方もまったく同じなのですが、「~の原因となる」「~を引き起こす」の方の「causer」は目的語を伴なう他動詞、「おしゃべりをする」の方は目的語を取らない自動詞という違いがあります。 

今回のフレーズにある「ils nous causent des tas d’ennuis」の場合、「nous(私たちに)」と「des tas d’ennuis(たくさんの面倒なこと)」という目的語を伴なっているので、「~の原因となる」「~を引き起こす」の方の「causer」だということが、すぐにわかります。 

よく使われる例

「causer」を「おしゃべりをする」という意味で使うのは、例えば 

  • Elles ont causé pendant des heures. 
    (彼女たちは何時間もおしゃべりした) 

のような使い方です。 

この場合は目的語がないので、すぐに「おしゃべりをする」という意味だとわかります。 

よく使われる例外

ただし、次のような例もあります。 

  • Je te cause plus ! 
    (もうあんたとは口をきかない!) 

この場合は「te」が目的語なのですが、「~の原因となる」「~を引き起こす」ではなく、「おしゃべりをする」という意味であることがハッキリしています。 

例外になる理由

そもそも「おしゃべりをする」という意味自体がかなり口語的なので、本来は自動詞であるにもかかわらず、くだけた表現になりやすく、例外的に目的語を取る使い方が習慣化してしまっています。 

「Je te cause plus ! (もうあんたとは口をきかない!)」というのは、子どもたちが口げんかをした際の決まり文句です。 

このフレーズにある「plus」は、本来は「ne ~ plus」の一部なのですが、このうちの「ne」も省略されています。 

自動詞なのに目的語を取り、否定語まで省略した、くだけた表現だということです。 

「Je te cause plus ! (もうあんたとは口をきかない!)」と言って怒りをぶつけた相手と、5分後には一緒に笑い転げていたりするのも、フランスの子どもあるあるの光景ではありますね! 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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