日本語にもなっている?
今回は名詞だけの部分を扱うのですが、この「paravent」は、そもそもは造語です。
他にも似たような構造の造語がいくつもあり、成り立ちを知ることで覚えやすくなります。
日本語に外来語として入っている単語もあるので、さらに覚えやすいですよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Ce paravent ?…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第8章の4枚目の挿絵から3行前にある、バラの花のセリフです。
「ce paravent」
「ce」は「この」「その」「あの」、「paravent」は「屏風」「衝立」という意味の男性名詞です。
背景を見てみると
遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪のバラの花を思っています。
ある朝花開いたバラと出会い、王子さまはすぐにその美しさに夢中になりました。
わがままで見栄っ張りなバラは、王子さまの自分を思う気持ちを利用するかのように、いろいろと要求するようになります。
朝食に水を、風が大嫌いなので衝立を、王子さまの星が寒いのでカバーを頼んだバラですが、王子さまが衝立を取りに行かないので、催促している部分です。
「paravent」の成り立ち
「paravent」は、「屏風」「衝立」と訳されることが多い名詞です。
この単語は、ラテン語由来で「防ぐ」「守る」という意味を持つ「para」の部分と、「風」という意味の「vent」に分けられます。
「風を防ぐもの」という意味で作られた造語だったのです。
「風よけ」が本来の意味だということです。
「paravent」と同様の造語
「paravent」と同じように「para」から始まる造語はいくつもあります。
造語 | 防ぐもの | 意味 |
paravent | 風 | 屏風/衝立 |
parapluie | 雨 | 傘 |
parasol | 日光 | 日傘/パラソル |
paratonnerre | 雷 | 避雷針/雷よけ |
parachute | 落下 | パラシュート |
もう1種類の造語
現代フランス語の動詞「parer」は「防ぐ」「守る」という意味ですが、この動詞から「r」を取り、ハイフンをつけた「pare-」のついた造語もあります。
なお、「parer」と「pare-」の発音は異なります。
造語 | 防ぐもの | 意味 |
pare-brise | 風 | 車のフロントガラス |
pare-chocs | 衝撃 | バンパー |
pare-feu | 火 | 防火壁など |
pare-neige | 雪 | 屋根の雪止め装置 |
pare-balles | 弾丸 | 防弾チョッキなど |
2種類の造語の違い
では、なぜ「para」から始まる造語と「pare-」から始まる造語があるのでしょうか?
「paravent」のように「para」から始まる造語はかなり古くからある言葉です。
それに対し、「pare-」から始まる造語は比較的新しい単語で、特に技術や工業の進歩に伴って作られたものが多いです。
2種類の「落下」
ちなみに、外来語にもなっている「parachute(パラシュート)」の元になった単語は「chute(落下)」です。
フランス語には他にも「落ちる」という意味の単語「tomber」があるのに、「chute」が使われているのは、この言葉に「勢いよく落ちる」というニュアンスがあるからです。
「parachute」とは、「勢いよく落ちることを防ぐもの」つまり「軟着陸させるための道具」ということなのです。
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