346 フランス語の造語とは? Ce paravent ?…

名詞

日本語にもなっている?

今回は名詞だけの部分を扱うのですが、この「paravent」は、そもそもは造語です。 

他にも似たような構造の造語がいくつもあり、成り立ちを知ることで覚えやすくなります。 

日本語に外来語として入っている単語もあるので、さらに覚えやすいですよ! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Ce paravent ?…」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第8章の4枚目の挿絵から3行前にある、バラの花のセリフです。 

「ce paravent」

「ce」は「この」「その」「あの」、「paravent」は「屏風」「衝立」という意味の男性名詞です。 

背景を見てみると

遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪のバラの花を思っています。 

ある朝花開いたバラと出会い、王子さまはすぐにその美しさに夢中になりました。 

わがままで見栄っ張りなバラは、王子さまの自分を思う気持ちを利用するかのように、いろいろと要求するようになります。 

朝食に水を、風が大嫌いなので衝立を、王子さまの星が寒いのでカバーを頼んだバラですが、王子さまが衝立を取りに行かないので、催促している部分です。 

「paravent」の成り立ち

「paravent」は、「屏風」「衝立」と訳されることが多い名詞です。 

この単語は、ラテン語由来で「防ぐ」「守る」という意味を持つ「para」の部分と、「風」という意味の「vent」に分けられます。 

「風を防ぐもの」という意味で作られた造語だったのです。 

「風よけ」が本来の意味だということです。 

「paravent」と同様の造語

「paravent」と同じように「para」から始まる造語はいくつもあります。 

造語 防ぐもの 意味 
paravent 風 屏風/衝立 
parapluie 雨 傘 
parasol 日光 日傘/パラソル 
paratonnerre 雷 避雷針/雷よけ 
parachute 落下 パラシュート 
「para」のつく造語

もう1種類の造語

現代フランス語の動詞「parer」は「防ぐ」「守る」という意味ですが、この動詞から「r」を取り、ハイフンをつけた「pare-」のついた造語もあります。 

なお、「parer」と「pare-」の発音は異なります。 

造語 防ぐもの 意味 
pare-brise 風 車のフロントガラス 
pare-chocs 衝撃 バンパー 
pare-feu 火 防火壁など 
pare-neige 雪 屋根の雪止め装置 
pare-balles 弾丸 防弾チョッキなど 
「pare-」のつく造語

2種類の造語の違い

では、なぜ「para」から始まる造語と「pare-」から始まる造語があるのでしょうか? 

「paravent」のように「para」から始まる造語はかなり古くからある言葉です。 

それに対し、「pare-」から始まる造語は比較的新しい単語で、特に技術や工業の進歩に伴って作られたものが多いです。 

2種類の「落下」

ちなみに、外来語にもなっている「parachute(パラシュート)」の元になった単語は「chute(落下)」です。 

フランス語には他にも「落ちる」という意味の単語「tomber」があるのに、「chute」が使われているのは、この言葉に「勢いよく落ちる」というニュアンスがあるからです。 

「parachute」とは、「勢いよく落ちることを防ぐもの」つまり「軟着陸させるための道具」ということなのです。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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