342 2種類の謝罪の大きな違い! Pardonnez-moi…

動詞

似ているけれど…

今回のフレーズに似た謝罪に「Excusez-moi.」があります。 

形は似ているものの、この2種類の謝罪は、変化や意味がかなり異なります。 

特に変化については分かりやすい理由があるので、理解しておけば間違わずに済むだけでなく、意外なものが自然な形で覚えられます。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Pardonnez-moi…」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第8章の3枚目の挿絵から3行目にある、王子さまのセリフです。 

「pardonnez-moi」

「pardonnez-moi」は、動詞「pardonner」の命令形「pardonnez」と1人称代名詞強勢形の「moi」がハイフンでつながれたものです。 

命令形に1人称や2人称の人称代名詞がつく場合には、ハイフンで強勢形をつなぎます。 

「pardonner」は(罪などを)「許す」「大目に見る」という意味です。 

背景を見てみると

遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪のバラの花を思っています。 

ある朝花開いたバラと出会い、王子さまはすぐにその美しさに夢中になりました。 

わがままで見栄っ張りなバラは「トラなんて怖くない」と言うのですが、するとうっかり、王子さまは「自分の星にはトラなどいないし、そもそもトラは草を食べない」と言ってしまいます。 

今回のフレーズは、気を悪くしたのか「わたしは草ではありません」と言うバラへの、王子さまの謝罪の言葉です。 

「Pardonnez-moi」の意味

こうした背景でわかる通り、今回のフレーズである「Pardonnez-moi」という謝り方は、かなり深い謝罪を伝えたいときに使われます。 

相手を傷つけたり、自分の行動が相手に大きな影響を与えたりしたときに、「どうか許してください」と懇願するような感覚です。 

ニュアンスとしては、相手に対して真剣に許しを請うイメージです。 

足元にすがりついて謝るような、感情のこもった謝罪を示します。 

「Excusez-moi」の意味

それに対し、「Excusez-moi」は中程度の謝罪を表現するために使われます。 

誰かに軽くぶつかったときや話しを中断するときなど、日常で起こり得る失礼に対して言う「ごめんなさい」のような感じです。 

言い方によっては、しっかり謝る時の「ごめんなさい」にもなりますが、足元にすがりついて謝るようなイメージにはなりません。 

2人称は対象外

ところで「Pardonnez-moi」と「Excusez-moi」は、どちらも動詞の命令形に「-moi」がついた形で似ているように見えます。 

両方とも動詞の命令形なので、前述通り、命令形に1人称や2人称の人称代名詞がつく場合にはハイフンで強勢形をつなぐからです。 

「許して」という意味の命令形なので2人称は対象から外しますが、普通の動詞なら、2人称単数(君)は「-toi」、2人称複数(あなたたち)は「-vous」になります。 

3人称は目的格

そして3人称の場合は、ハイフンで目的格をつなぎます。 

でもこの2つのフレーズを変化させると、3人称での変化がかなり異なります。 

「Pardonnez-moi」と「Excusez-moi」は、どちらも「わたし」を許してほしいとお願いするフレーズです。 

許す対象が「わたし・わたしたち」の場合は1人称なので、どちらも強勢形です。 

ところが「彼・彼女・彼ら・彼女たち」という風に変えると、同じ3人称の目的格なのに、変化の仕方が異なるのです。 

変化の仕方まとめ!

この違いは、変化の仕方を並べてみると一目瞭然です。 

許す対象 Pardonnez Excusez 
わたし -moi -moi 
わたしたち -nous -nous 
彼 -lui -le 
彼女 -lui -la 
彼ら -leur -les 
彼女たち -leur -les 
変化の仕方まとめ

違いの理由

この3人称の変化の違いは、同じ人称代名詞の目的格でも、直接目的か間接目的かという違いが影響しています。 

実は「pardonner」という動詞は、直接には目的語を取ることができない動詞です。 

なので辞書などには「pardonner à(人)」のように、前置詞の「à」を入れた形で紹介されています。 

それに対して「excuser」は他動詞なので、目的語を取ることができます。 

つまり、「彼を許してください」を「pardonner」を使って言う場合の「Pardonnez-lui」の「lui」は間接目的、「excuser」を使って言う場合の「Excusez-le」の「le」は直接目的なのです。 

人称代名詞のまとめ

上の表の「Excusez」の列を見てみると、直接目的なので「Pardonnez」の3人称とは異なっています。 

特に単数では、「彼」と「彼女」で単語が変わります。 

「Pardonnez-〇〇」「Excusez-〇〇」の3人称を覚えてしまえば、人称代名詞の目的格を自然な形で覚えられます。 

人称代名詞のまとめも載せておきます。 

色のついている部分が、目的格です。 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました